これが「空港シャトルバス」なの!? 本州最西端の地を走る “かなり変わった路線”に乗ってみた 車両はマイクロバス
唐戸地区、関門橋、壇ノ浦……車窓に関門エリアの名所が
下関駅を出発したバスは国道9号に入り、片道3車線の大きな道路を東へと走行。やがて市立しものせき水族館「海響館」や「唐戸市場」を擁する唐戸地区に差し掛かります。観光地や市民が集う場であるため空港シャトルバスにも停留所が設けられており、大きな荷物を抱えた1人が乗車。地元の若者たちが誤乗しそうになり、運転手が声をかけて止める一幕もありました。 唐戸地区を過ぎて車窓を見上げれば関門橋がそびえ立ち、右手には関門海峡を挟んで対岸の「門司港レトロ」地区も見え、空港シャトルバスという名前からは想像がつかない絶景の車窓が気持ちを高ぶらせてくれます。さらに平家滅亡の地である壇ノ浦付近では、源平合戦の模様を描いた石像や、幕末期に来寇した外国艦隊に対処するため設置された長州砲のレプリカなどが展示された「みもすそ川公園」も見られて、思いがけず観光が楽しめました。 やがて長門国の国府が置かれた街である長府に入ると、国道9号は国道2号と名前を変え、ロードサイド店などが姿を見せるようになりました。対向車線にはたくさんの乗客とともに下関駅へ向かうサンデン交通のバスも頻繁に現れ、旺盛なバス需要が感じられます。 マイクロバスは城下町長府、長府駅前、小月局前と設けられた停留所へ律儀に停車したものの、利用者はおらず、結局車内の乗客は2人だけのまま、山口宇部空港を目指しました。国道2号を離れた後は、埴生ICから山陽自動車道宇部下関線に入りました。このあたりから案内標識には「空港」の文字も見えはじめました。 宇部東ICを下りると県道6号「山口宇部道路」で宇部市内を南下。JR宇部線をオーバークロスすると、間もなくして空港ターミナルに到着しました。30分ほど早着しましたが、鉄道利用であれば乗り換えが生じるところを直接移動でき、快適に過ごすことができました。
水野二千翔(高円寺工房/モビリティライター)