自然の価値知り受け継いで 遺産登録3年でイベント 奄美大島世界遺産センター
2021年の奄美・沖縄世界自然遺産登録から3年を迎えた26日、鹿児島県奄美市住用町の奄美大島世界遺産センターで記念イベントが開かれた。館内ツアーや生き物講座、工作体験などがあり、豊かな自然の価値への理解を広めるとともに、改めて環境保全意識の啓発を図った。夜は島唄で節目を祝った。 館内ツアーは全3回にそれぞれ20~40人が参加。職員が奄美大島の成り立ちや動植物の特徴、保全に向けた課題などについて説明し、「生物多様性を守るためには生息環境を丸ごと保っていくことが重要」と語り掛けた。参加者は奄美の森の中を再現した展示物を通して世界自然遺産の森の魅力を体感し、楽しみながら奄美の自然について学んでいた。 大阪府から祖母の出身地である奄美大島へ家族旅行中という女子中学生(13)は、「奄美大島には肉食哺乳類がおらずハブが生き物の頂点にいると聞いて驚いた」。父親(50)は「知らないことばかりだった。ハブと戦うショーが有名だったので、マングースによる食害のことや捕獲活動が進められたこと、もうすぐ根絶宣言がされるという話にもびっくりした」と話していた。
生き物講座は親子連れを中心に約50人が参加した。講師を務めたカヌーツアーガイドの山久広男さん(59)は、国内第2位の面積を誇る奄美市住用町のマングローブの森に生息する魚類や甲殻類、鳥類などの生態について解説し「これらの生き物の多くは干潮時に見ることができる。機会があれば楽しんで」と呼び掛けた。 家族で会場を訪れた女児(5)=奄美市名瀬=は「マングローブの森にいろんなカニや魚が住んでいることが分かってビックリした。カヌーに乗って近くで見てみたい」と話した。 記念イベントではこのほか、海洋プラスチックを使ったキーホルダー作りと鳥の形を模した鳥凧(たこ)作りのワークショップ、ハブ研究で知られる服部正策さんの講演会、唄者の里朋樹さん、森永あすかさんによる島唄ライブを実施。延べ1539人が来場し、会場は地元の親子連れや観光客で終日にぎわった。