「選挙の神様」が明かす黒子の存在「アピールするなんてご法度」、公選法に規定されない「グレー」な裏方たち
政治哲学持つべき
「選挙コンサルがプロを名乗るには、候補者を勝たせなければならない」
そう語る藤川さんは、支援する候補者を「人物本位で決める」とし、「政策には興味がない。私の仕事は選挙に勝つための戦略を練り、候補者に伝えることだ」とさえ言ってのけた。
自身が選挙に関わる場合は「無報酬のボランティア」だともいい、東京都知事選に出馬した石丸氏の選対事務局長を務めた際も「お金をもらっていない」という。事務所の運営費などは、企業からのコンサル料などでまかなっていると説明し、「お金をもらっていないから、こうやっていろいろ話せるんですよ」と笑った。
なぜ、そこまでして選挙に関わろうとするのか。「日本のために役に立てる議員を生まなくてはいけない」という思いからだという。「永田町は人材不足。政界の大谷翔平や藤井聡太を生み出していきたい。選挙に関わる人は裏方だとしても自身の政治哲学をきちんと持つべきだ」と語った。
法は法だが…「形骸化している」
「選挙の規模、お金の問題もあるが、PR会社や選挙コンサルと言われる人たちが陣営に入るのは一般的になりつつある」
こう指摘するのは、元経産官僚で政策シンクタンク「青山社中」のCEO、朝比奈一郎さん。青山社中は議員や自治体の政策立案のサポートをする“裏方”だ。
政治活動の外注は、選挙運動の外注とみられるリスクと表裏一体だ。実際、政治活動の支援を有償で行う青山社中の社員が立候補者の陣営にボランティアとして入ることも「過去にあった」としつつ、「仕事を受ける相手が、そもそも社員と間柄が近い友人だったりする。その場合、休職してボランティアとして陣営に入るなど、絶対に『買収』と取られないように徹底する」と話す。
選挙の現場にPR、選挙コンサルが入るメリットはどこにあるのだろうか。「政治家は、政策を考えたりするのが得意でも、広報やPRに長けている人は少ない」と指摘する。「最近の選挙ではSNSやウェブでの影響力が大きいのに、ノウハウは圧倒的に足りない。PRや広報のプロを陣営に加えることは候補者にとっては有益だ」と語る。