「選挙の神様」が明かす黒子の存在「アピールするなんてご法度」、公選法に規定されない「グレー」な裏方たち
つまり、業者にお金を払って、選挙運動を丸投げすると違反になる可能性が高い。ここでいう選挙運動とは、選挙期間中(公告示日から投票の前日まで)の間の活動をさす。
とはいえ、PRやコンサルタントは広報や活動の方針について、企画・立案して全体像をまとめるのが仕事。プロである彼らが主体的ではないなんて、あり得るのだろうか? どこまでがセーフなのだろう?
総務省選挙課に聞くと「PR会社やコンサルという存在が、公選法上位置付けられていない」(担当者)ため、具体的に「これは良し、これはダメ」と行為の線引きができるわけではないという。「個別の事案の適否を判断する立場にない」としながらも、「候補者陣営からの具体的な指示の下、機械的な作業を行うことは選挙の主体として認められない。その場合、社会通念上、妥当な金額を支払うことができる」という。
藤川さんは「昔は選挙師と呼ばれる人たちがいた。候補者が数千万円のお金を差して『これで助けてください』と泣きついたり、相手陣営の参謀を金で潰したり……。そういう激しい現場を見たこともあり、カッコよく見えたのも事実だ」としつつ、「今の選挙コンサルはあっさりしている。例えば、ポスター作りやビラを配るタイミング、街宣の内容を助言したりする程度のもの。かつてのような豪胆な働きは今の時代は通用しない」という。
特に藤川さんが強調したのは、「違反者を出さない」ということ。
「選挙期間は、法律に違反していないか毎日チェックする」のだという。ガイドラインでは、コンサルが「選挙運動の主体」となることについて違反を指摘しているから、「スタッフの意見をまとめて、候補者に助言する」。公選法については、「長年、選挙に携わっていても、忘れてしまうこともある。だから、選挙管理委員会や警察に相談しながら線引きしていく。警察に顔を出して2課長(主に知能犯や選挙犯罪などの捜査を担当する部署)と親しくなり、自分たちの動きが間違っていないかを確認することもあるほどだ」と話した。