「香水をつけるのは絶対NG?」大人なら知っておきたい“カウンター寿司のマナー・NG行為”を600店以上巡った寿司リーマンに聞いた
2. 遅刻しない…は当然だが寿司屋ならではの理由とは?
続いて寿司リーマンさんが挙げたのは「予約した時間に遅刻しない」ということ。飲食店を利用する際のマナーとしては当然のような気がするが、寿司屋ならではの理由があるという。 「当たり前と言えばそうなのですが、多くの寿司屋では予約時間に合わせ全部逆算して準備しているんです。寿司は温度がとても大事なため、予約時間の何分前にシャリを切って、何分前にマグロ切って……と1番おいしい状態で提供できる時間を計算しています」(寿司リーマンさん) 多くの寿司職人が最もこだわるシャリは、米の種類から一緒に使用する水のpHに気を配るのはもちろん、炊きあがってから何分後に酢を混ぜるかも重要なのだという。 「ちょっとマニアなことを言うと『お寿司は生き物』です。温かいシャリが合うネタもあれば冷たいシャリの方が合うものもあります。お寿司の美味しさは酢飯のクオリティで7割ぐらい決まるといっても過言ではありません。ネタの仕入れはその日の天候や状況によってどうしても左右されますが、酢飯は寿司職人がコントロールできるもの。一番思い入れが強いんです。しかし遅刻をすると寿司職人の計算が全部狂ってしまい、嫌がられることが多いんです」(寿司リーマンさん) それだけ提供時間にこだわっているということは、遅刻せずとも食べるのが遅いのもNGなのだろうか。 「たまにおしゃべりに夢中になって、カウンター上に寿司が溜まっていく人を見かけますが、最悪ですね。お寿司はお客さんの前に置いた瞬間が1番おいしいんです。なんなら寿司職人が出した瞬間に手が重なるぐらいのスピードで食べるのが1番美味しい(笑)。すごく厳しいお店だと、2貫溜まったら捨てますね、と捨ててしまう寿司職人がいるくらいです。その場の会話を楽しむのももちろん大切ですが、お寿司は最も美味しいタイミングで食べてほしいですね」(寿司リーマンさん)
3. カウンターでのマナー・食べ方の注意点とは
カウンターは寿司職人の仕事ぶりが見えると同時に、自分の姿も見られている。寿司屋のカウンターで特にNGなのはどのような振舞いなのだろうか。寿司リーマンさんは「基本的には『これをやっておけばいい』みたいなものではなく、その場その場での判断が求められます。もちろん、覚えておきたいマナーや経験によるものもありますが、まずは相手を思いやる心遣いが前提です」としつつ、カウンターで最低限覚えておきたいマナーを3つ教えてくれた。 「多くの寿司店ではドレスコードがありません。よほど露出度が高いとかでなければ好きな格好で訪れて問題ありません。しかし、手元にじゃらじゃらとアクセサリーを付けるのは避けた方が良いですね」(寿司リーマンさん) その理由は、「カウンターはこだわりの木でつくられた神聖なものであることが多いから」。手元に過剰な装飾が多いと、カウンターを傷つけてしまう。もちろん、スマホや時計などを無造作に置くのもマナー違反だ。近年ではSNSに高級時計と寿司をセットにした写真を載せる人などもいるようだが、あまり好ましくはないそうだ。写真撮影をすること自体はどうだろうか? 「先ほどお伝えしたように、寿司は提供されたらすぐに食べるのが鉄則です。でもせっかく訪れたのだから写真を撮りたいと思うこともありますよね。その場合は黙って撮るのではなく、必ずお店の方に『写真を撮っても良いですか』と聞きましょう。最近では写真撮影NGの店は少なく、事前に食べログなどの口コミサイトを見ればある程度は分かるものですが、それでもその場で必ず確認するのがマナーです」(寿司リーマンさん) 確かに一言声をかけてから撮影するのと無言で撮影するのではかなり印象も異なる。 「また、お寿司はできれば手で食べるのがおすすめです。寿司は五感で楽しむものですから、箸で食べると『触感』が損なわれてしまいます。温かいな、とか滑りそうなぐらい脂が乗ってるな、とか崩れそうなぐらいシャリの握りが柔らかいな、とか。1個1個のネタに想いやストーリーがあるものなので、食べながら寿司職人さんに聞いてみるのも良いですね」 どのマナーも寿司職人さんへのリスペクトの気持ちがあればやろうとは思わないはず。基本的なNG行為は避けつつ、周囲の人を思いやる気持ちを忘れないことが大前提だ。
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