大阪北部地震は「見えない」活断層が起こした?
東日本大震災が動かした岩盤の影響?
2011年に起きた東日本大震災(地震名は東北地方太平洋沖地震)はM9.0という、いままで地震計が記録した日本最大の地震でした。 この地震は日本列島の地下全体にある基盤岩を一挙に動かしてしまいました。その量は、震源に近い宮城・牡鹿半島で5.4メートル、遠くに行くにしたがって小さくなりますが、それでも首都圏で30~40センチメートルにもなりました。プレートが年間4~8センチメートルというゆっくりした速さで動いて日本列島のひずみを増していくのと比べて、一挙に数十年分以上を動かしてしまったことになるのです。 この影響が、じわじわ数年から数十年かけて出てくるに違いありません。地震も火山も、いままでよりは多く発生するでしょう。 もしかしたら、最近、日本各地で頻発している地震、たとえば最大震度5強を記録した5月25日の長野県栄村の地震(M5.2)、最大震度5弱だった6月17日の群馬・渋川市の地震(M4.6)、そして6月18日の大阪府北部の地震も、その一環かもしれないのです。
--------------------------------- ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年東京生。東京教育大附属高卒。東大理学部卒。東大大学院修了。理学博士。東大助手、北海道大学教授、北海道大学地震火山研究観測センター長、国立極地研究所長などを歴任。専門は地球物理学。2013年5月から『夕刊フジ』に『警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識』を毎週連載中。著書の『火山入門――日本誕生から破局噴火まで』2015年5月初版。NHK新書。『油断大敵! 生死を分ける地震の基礎知識60』2013年7月初版。花伝社。『人はなぜ御用学者になるのか――地震と原発』2013年7月初版。花伝社、など多数