【現地ルポ】ここは本当に日本か!? 北海道ニセコ"外国人支配"の実態
■普通の日本人が楽しむには過酷すぎる そんな街に日本人が滞在するのはけっこうツラい。 スキー場に近い倶知安町内の宿は、カプセルホテルに毛が生えたくらいの部屋で風呂とトイレは共同だ。なのに、1泊朝食付きで1万3000円とかなり高い。 個室はドア代わりの防火カーテンで仕切られ、カギはない。筆者がベッドに寝転がっていると、部屋を間違えた中東系の男性が、いきなりカーテンを開いて入ってくることさえあった。 宿の近所にあるスーパーマーケットをのぞくと、ここでも9200円の生ウニや、高級シャンパンがズラリと並ぶ。 近隣在住だという日本人男性(50代)に話しかけてみると「そんなのは地元の人は買わないよ」と、当たり前すぎる返事が来た。 実は地元のコンビニや格安スーパーは、いかついインバウンド商品とは別に、日本人の住民向けのカップ酒や惣菜を定価で販売している。「数㎞離れた駅前に飲みに行こうと思う」と話した私に、彼は言う。 「冬は外国人客がアプリ経由で配車を取り合うから、タクシーは1時間待ちもザラ。運転代行サービスもあるけど1業者しかないから使いづらい。今から飲みに行くのはやめたほうがいいよ」 仕方なく、おにぎりと見切り品のサラダを350円で買い、ニセコ第1夜の夕食にした。 ただ、翌日は困った。前夜の宿は満室で、ほかのホテルは1泊5万円以上。現地で有名なニセコHANAZONOスキーリゾート前のパーク ハイアットなら、安くても1泊20万円くらいする。滞在1週間で3500万円という高級ホテルコンドミニアムもあるそうだが、まさに雲の上の話である。 スキー場から約40㎞先に素泊まり1泊8000円の民宿を見つけ、山道をクルマで向かったところ、寒波に巻き込まれて遭難しかけた。民宿付近に商店はなく、吹雪で買い出しにも行けない。滞在2日目の晩餐は民宿の受付に余っていたカップうどんになった。 だが、せっかく来たからにはスキーは試しておこう。滞在3日目、猛吹雪のニセコを避けて同じく外国人に人気のルスツリゾートに行くと、「5時間券」がネット割引でも8500円(終日滑れる1日券は9700円)。レンタルスキー代も合わせれば、財布に厳しい。今日の食事はセイコーマートの鮭おにぎり(203円)にしよう......。 「ここは最高の天国さ! なんでも安いし、僕の故郷よりも雪質がいいんだぜ!」 ルスツで出会ったアラスカ出身だという中年アメリカ人スノーボーダーはそう顔をほころばせた。 山頂行きのゴンドラで相乗りする人たちはアメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド......と、まるで英語圏各国の見本市だ。さらに山麓部の初級者ゲレンデでは、雪に慣れない中国系の人たちが中国語や広東語で叫声を上げている。 リフトやゲレンデハウスの設備はバブル期から変わらない日本のスキー場だが、中身は完全に海外。日本人には食堂のおばちゃん以外、ほとんど出会わなかった。