自民党総裁選候補者の顔ぶれと経済政策姿勢
高市氏は積極財政、大規模金融緩和を支持か
高市氏は保守派として知られている。高市氏は原発のさらなる活用を主張する一方で、太陽光パネルによる環境破壊に懸念を示している。2021年に出馬した総裁選では、安倍元首相の大規模金融緩和政策への支持を表明した。 また高市氏は積極財政派としても知られている。国の資金で民間のビジネス展開を支援し、経済を成長させ増税を回避できると主張する。インターネット番組では、「必要なところにお金をかけて税収が増える形をつくっていくことが大事だ」と語った。 靖国神社への参拝を続けている高市氏が総裁に選ばれた場合、韓国との最近の関係改善が危ぶまれ、中国との関係を一段と悪化させる可能性もあるだろう。 冒頭でも指摘したように、高市氏以外の6人が総裁に選ばれ首相となっても、岸田政権の政策を大きく転換するものではないように思われるが、高市氏の場合には、大きな変化が生じる可能性があるのではないか。 外交、安全保障政策では右寄り、強硬姿勢が強まるだろう。また経済政策では、積極財政姿勢が強まる一方、日本銀行の利上げには批判的となる可能性も考えられる。日本銀行の正常化を制約する可能性もあるだろう。これは、円安要因になるのではないか。 高市氏が選ばれるのか、あるいはそれ以外の人物が選ばれるのかが、総裁選を巡る金融市場での大きな注目点の一つとなるのではないか。 (参考資料) 「異次元緩和の長期化で財政悪化、経済危機に備え新組織設置を-石破氏」、2024年8月7日、ブルームバーグ 「岸田首相の不出馬表明で自民総裁選び本格化へ、想定される有力候補」、2024年8月14日、ブルームバーグ 「自民総裁選、経済政策で前哨戦 ライドシェア・経済安保」、2024年7月29日、日本経済新聞電子版 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英