あこがれの1台、MGB【3】細部を追求する最後の仕上げ真の美しさを求めた最終章|エンドレスが挑む 回顧録
再生パーツは輝きを取り戻し、エンドレスのファクトリーで息を吹き込まれる。レストアのゴールが近づき、MGBの美しいスタイリングが少しずつ見えてきた。しかし、ここからがレストアにとって気の抜けない作業の連続となるのだ。パーツをいかに組み上げるか、エンドレスレストアの真骨頂がスタートする。 【画像20枚】エンドレスのガレージに長らく眠っていたMG-B。これから新たな息が吹き込まれていく 【細部を追求する最後の仕上げ真の美しさを求めた最終章|エンドレスが挑む】 エンドレスが行ってきたMGBのレストアは、最終段階に突入した。ファクトリーには、取り付けを待つパーツが集まっている。ウマの上に載せられたボディに、パイブラインが張りめぐらされ、電装ケーブルが通る。今まさに、静から動へと姿を変えていく。 クルマのまわりを忙しそうに動き回るスタッフ。時には二人一組で、大きなパーツを組み込んでいる。すでに、このような作業を何回も繰り返してきた。年明けのショーに向けて、毎年、新しいレストア車両を製作し、冬の到来とともに、現場に活気が出てくるのだ。 ボディラインへパーツをあてがい、時にはパーツを修正していく。レストアでは、新品のパーツを入手し装着したとしても、ボディ側のネジ穴がずれていたり、傾いていることが多いので、簡単に作業は進まない。そのまま装着すると、ボディラインと合わないことも。 エンドレスの花里功会長がバンパー部に手を添えると、スタッフに声をかけた。そこに数ミリのズレがあると。手の感覚を使って、見た目だけでは判断できない範囲で形を整えていく。この作業が大切であり、仕上がりの良さを感じさせる空気感が生まれるという。 もともと、走りを楽しむクルマなので、エンドレスが組み込む足まわりが気になる。サスペンションを確認すると、ダンパーは前後ともに純正品をオーバーホールし、フロントに特注のスプリングが組み込まれることになった様子。フロントをしっかりと固め、リアの純正リーフスプリング部分を修正して、微調整を行っていくという。 ついにゴールが見えてきたMGBのレストアだったが、オートサロンには複数台のレストアカーを出展するのがエンドレスの恒例だ ゴールが見えてきたMGBではあるが、エンドレスでは複数台をレストアするのが恒例となっている。そのなかの一台が1975年式シビックRSであることが分かった。オリジナルのオレンジカラーが美しく残る個体で、無限のパーツが組み込まれている。 他のクルマと同じように、すべてのパーツを取り外して、ボディは板金工場に預けられた。エンドレスのレストア車両は、ボディカラーがホワイトパールで統一されているが、シビックは当時のオレンジ色を再現。新たなレストア手法が見られるかもしれない。 エンドレスによって再生された最新のレストア車両が、最初にお披露目される場所は東京オートサロン2021の会場となる。ショー自体の開催が心配されたが、今では着々と準備が進んでいるという。エンドレスでは展示スペースを大幅に拡大する予定で、たくさんのクルマが並ぶことが期待される。 オートサロンでのブース拡大など、活発な行動が見られるエンドレスだが、ヨーロッパの耐久レースでも、ブレーキパッドの実力が認められ、実戦採用され始めたという。しかも、チームを優勝に導くほどの実績を残し、その性能を世界に知らしめることになった。 このような活発な活動を支えているのが、エンドレスの技術力とこだわりといえる。花里会長(取材当時)が大切にしてきた2つでもある。そして、この技術力とこだわりで完成したのが極上のレストア車両なのだ。その台数は同社の勢いに合わせるように、増え続けている。 バックヤードにストックできるクルマの台数にも限界が見えてきたが、ようやく、クルマを展示するスペースが完成するという。以前から構想していた、博物館が完成するかもしれない。この情報は次回の記事で詳細に紹介するので、楽しみにしていてほしい。
Nosweb 編集部