仕事が好きでキャリアアップが目標…典型的な女性の生き方はしたくないけど結婚はしたい
「誰かのため」に、自分の時間を使えそう?
「典型的な女性の生き方をしたくないが結婚したい」と題する女性からの投稿が、掲示板サイト「発言小町」に寄せられました。大学院を卒業し、現在は企業で総合職として働いている25歳のトピ主さん。1年前から恋人がおらず、「そろそろ新しい出会いのために動きたい」と思っているのだとか。しかし、トピ主さんは仕事への興味が強く、「結婚しても家庭に重点を置きたくない」という思いを持っています。家庭の「主な稼ぎ手」になることは問題ないと考えているものの、「こんなマインドでも結婚できるでしょうか」と問いかけています。 結婚したい理由として、「寂しがり屋のため、家に帰ったら誰かがいる生活がしたい」とつづっているトピ主さん。しかし、長期の育休を取ったり、何年間も時短勤務をしたりすれば、昇進や面白い仕事にかかわるチャンスはほぼなくなりそうで、そうなることは耐え難いと感じているのだとか。「昇進のために重要な時期である30代を潰してしまいたくない」「仕事を通して社会を知ることは、生きる最大のモチベーション」といった記述も見られます。 トピ主さんは中高生の頃から、「生涯真剣に仕事がしたい」と考えていたとのことで、投稿全体から、目的意識を持って計画的に人生を歩んでいる様子が伝わってきました。女性がキャリアに支障なく結婚や出産のできる環境が作られていない、というのは社会全体の課題と言えますが、人生の時間が待ったなしで進むことを考えると、社会が大きく変わるのを待っているわけにはいかず、「今、この社会の中でどう生きるべきか」を考える必要がありますよね。 確実なことは、結婚や出産をすると多かれ少なかれ、「誰かのため」に時間を使うことになる、ということです。そのことを、トピ主さんは許容できそうですか? まずはその点から考えてみると良い気がしました。その分、自分のために時間や労力を使ってくれる人もできるわけですが、子どもの場合は手が離れるまで一定の期間を要し、子育て中に関しては、自分の時間を100%自分のために使うことは確実に難しくなります。あらゆるサポートを駆使したとしても、です。 「目の前に子どもが現れたら無条件にいとしくて、自分の時間を当たり前に費やしていた」といった経験者の話も聞くので、実際にその状況になってみないとわからない部分はあるでしょうが、それを差し引いても、「自分は子どもや夫のために時間を使うことを喜びだ、幸せだと思えるかな?」と想像してみることは、無駄ではないと思います。 キャリアにこだわるならば、ある程度、昇進をしてから結婚するという選択肢もあります。「キャリアの道筋が落ち着いてからにしよう」と決めるならば、今ある悩みは解決するでしょう。しかし、希望する人生プランがあり、「現実的に相手探しや出産のチャンスを豊富に持てる20~30代のうちに結婚しておきたい」と考える人は少なくないので、トピ主さんもそうした葛藤を抱えているのかなと想像します。 いろいろな条件に恵まれ、男性社会のなかでも自分のキャリアに邁進しながら、妻業や母親業も兼任するスーパーウーマンのような女性は、少数ですが昔からいました。社会の進み具合でいうならば、最近はそのチャンスを持てる人が少しずつ広がってきた、という段階かと思います。「母親になったら子どものために生きるべきだ」といった風潮が完全になくなったわけではありませんが、世界を見渡せば、女性に自由に生きる選択肢があることを知らないまま生きている女の子は今でも大勢いて、私たちは相対的にはまだ恵まれた環境にある、という見方もできるように思います。 トピ主さんが希望する人生を実現するには、「キャリアアップに燃えるトピ主さんや子どもを支えたいと思ってくれる、ハウスハズバンド的な男性と結婚する」もしくは「お互いに自分の人生の目標があり、お互いの目標のために協力し合えるようなパートナーを探す」という二つの選択肢があるのかなと思いますが、トピ主さんはどちらに気持ちが傾きますか? 「自分が主な稼ぎ手になることは問題ない」という記述もあるので、前者を目指し、子どもの世話や家事をするのが好きな男性を探してみるのは一つの方法かもしれませんね。 ただ、トピ主さんも懸念している通り、伝統的な性別役割が逆転した関係を真に受け入れられる人は、まだまだそう多くはありません。結婚前は「家事も子育てもちゃんとやる」と言っていても、蓋を開けてみれば、お互いに納得のいく分担とならず、険悪な状態に陥っていった夫婦の例もいくつか知っています。 女性側が大黒柱を担うことについて、親や親戚、世間から理解を得られないことで悩む人もいますが、そこは二人の気持ち次第です。「風当たりが強くても、自分たちだけの幸せの形を作ろうね」と二人で誓い合えるような相手を見つけられたら、マジョリティーの形ではなくとも、幸せな夫婦になることは可能だと思います。