「患者よりカネもうけ」ナースが見た訪問看護会社のあきれた実態 障害者を「食い物」に
だが精神、知的障害者では低収入の人が多い。生活保護の場合は医療費の本人負担はなし。障害者には「自立支援医療」という軽減措置があり、低所得の場合は月の負担が「2500円まで」などと定められている。過剰な医療を受けても懐が痛まない上、障害ゆえに主張できない人もいる。 ▽全体が悪いわけではない ただ、精神障害者らが地域で暮らす上で訪問看護の役割は大きい。 発達障害と精神障害があり、神奈川県内のグループホームで暮らす30代の男性は「訪問看護師さんが心の支え」と話す。 週1回訪問を受け、医師に伝えたいことを手紙にまとめるのを手伝ってもらったり、薬のことや生活上の困り事を相談したりしている。「ホームの職員には話しにくいこともあるので、助かってます」と笑顔を見せた。 この男性が利用する訪問看護ステーション「こころいK」(神奈川県伊勢原市)の管理者、山田祥和(よしかず)さん(48)が説明する。「医療面だけでなく、生活や仕事の面でも利用者を支えるのが私たちの役割。真面目にやっている事業者も多く、『全体が悪い』とは見ないでほしい」
▽質の評価や透明性確保が必要 訪問看護に詳しい国立看護大学校の萱間(かやま)真美学校長に話を聞くと、現状についてこう指摘した。 「訪問看護ステーションは、身体疾患のある人や高齢者を主な対象にするところと、精神科に特化したタイプで二極化している。精神、知的障害者の地域生活を支える上で精神科訪問看護は重要なサービスだが、一部の悪質な事業者では利用者を囲い込み、地域の関係機関と全く連携しないケースが見られる。それでは、長期入院で社会から隔離する従来の精神医療と同様、当事者は孤立してしまう」 どのような対策が必要なのだろうか。萱間さんは「看護師が訪問看護の必要度をきちんとアセスメント(評価)し、ケアプランを明確にすること。質の評価や利用者による評価を導入し、透明性を確保するといった対応が必要だと思います」と話した。 厚生労働省も対策に乗り出す。6月の診療報酬改定で、訪問看護について報酬の取得条件を一部厳しくすることを決めた。