Luup追う米電動キックボード大手がJALと協業…。交通マナー批判も「一緒にやっていける」
電動キックボードなどのシェアサービスで世界最大手のLime(ライム)が、日本航空(JAL)と協業する。航空会社との協業は初めてで、JALは専用駐車場(ポート)の開拓を支援するほか、ライムを利用するとJALのマイルが貯まるサービスを始める。 【全画像をみる】Luup追う米電動キックボード大手がJALと協業…。交通マナー批判も「一緒にやっていける」 ライムは、2024年8月に日本でサービスを開始したばかり。ポート数も、都内を中心に全国で1万カ所に展開する国内大手のLuupに対して、11月6日の発表時点で都内10区に120カ所とまだまだ少ない。 一方で、日本参入直後から国内の大手企業と協業を進めており、JALとの協業は9月に発表した三井住友海上に続いて2社目だ。次々に大手企業との協業を進めるのには、短期間で事業を拡大するための戦略的な理由がある。
那覇市でのサービス開始をJALが支援
「ライムとの提携を通じて、さらなる移動の利便性向上を進めていきたい」 JALイノベーション本部事業開発部部長の飯山高広氏は、こう意気込みを語った。 JALとライムの提携内容は大きく三つ。 一つは、専用駐車場(ポート)の拡大支援だ。三井住友海上と同様、JALは支社・支店や提携ホテルなどのネットワークを活用したポートの開拓に協力する。その第一弾として、11月7日からサービスを開始する沖縄県でのライムのポート開拓を支援した。ライムは沖縄県那覇市で、40ポート、計180台の車両でサービスを提供する。 もう一つは、マイル連携だ。JALマイレージバンクの会員を対象に、ライムの利用100円ごとに1マイル貯まるサービスを始める。 また、自治体や観光地を対象にしたレンタル事業でも協業する。ライムは、観光地の回遊性向上などを目的に車両をレンタルするサービスを開始する。JALは全国各地に拠点や提携先を多数抱える強みを生かし、展開をサポートするという。
風当たりの強い電動キックボード
ライムは、日本では電動キックボードと座って乗る「電動シートボード」の2種類の車両を導入している。 電動キックボードは2023年7月の改正道路交通法の施行によって免許不要で運転できるようになって以降、交通マナーの悪さなどから安全性を懸念する声も度々聞かれる。シェア事業者は国内ではLuupが先行するが、世間からの風当たりは強い。 こうした中、ライムとの協業を決めた理由について、飯山氏は 「(ライムは)海外では既に280都市に至るさまざまな国での実績がある。そのノウハウやサービスを日本においてもしっかりと展開いただけると(思っている)。社会課題の解決と、移動におけるラストワンマイルの利便性向上を一緒にやっていけるということで、今回業務経験に至った」 と話す。 協業の中では、ヘルメットの着用推進や安全講習の案内など、交通安全推進に向けた取り組みも実施していくという。
土屋咲花