スコットランドだけじゃない 世界の「独立予備群」は?
9月18日に行われた、英国からの独立の賛否を問う住民投票で世界の注目を集めたスコットランド。世界にはスコットランド以外にも、歴史や文化を背景に、国家としての独立が取りざたされる地域が数多くあります。主要国の主な独立問題をまとめます。(国際政治学者・六辻彰二) 【図解】複雑に絡み合う中東の対立構図を整理する
■カタルーニャ(スペイン)
スペイン東部のカタルーニャは、15世紀にスペイン王国の一部となりました。しかし、19世紀にはナポレオンによる占領をきっかけに、独自の歴史と文化をもつ民族として独立を求める動きが活発化。その後も独立の気運そのものは生き残り、現在では高い自治権をもつ「自治州」とされ、カタルーニャ語はスペイン語とともに州の公用語となっています。 この背景のもと、2008年の世界金融危機の後、州都バルセロナなど商工業地帯を占めるカタルーニャでは「課税などで他の州以上に中央政府に貢献しているのに、インフラ整備などの公共支出は他の州より少ない」という不満が噴出。スコットランドの住民投票にも触発され、カタルーニャ州政府は9月27日、11月9日に独立の賛否を問う住民投票を行うことを発表。これに対して29日に憲法裁判所が違憲判決を下し、差し止めを命じました。 これに対して、10月13日に自治州政府は住民投票の中止を発表。しかし、独立の気運そのものは残っているので、カタルーニャ自治州政府が今後どんな別の手段をとるかが注目されます。
■バスク(スペイン)
スペイン北部のバスク地方は、16世紀初頭にスペイン王国に併合されました。その後、19世紀に中央集権化が進むなか、それまで認められていた自治権も撤廃され、その反動でバスク民族主義が台頭。スペイン内戦(1933‐39)で民族主義者が弾圧され、主要都市ゲルニカが史上初の無差別爆撃の対象となったことも、中央への不信感を強めました。 現在、バスクは「自治州」となり、バスク語がスペイン語と並ぶ公用語で、スペイン内部での自治権の拡大を重視する穏健派の民族主義政党「バスク国民党」が州議会の与党となっています。一方で、分離独立を目指す急進的な「バスク祖国と自由」(ETA)は爆弾テロなどを繰り返し、1968年から2003年までの間に少なくとも829人がその犠牲となりました。2010年9月、ETAは武装闘争の停止を発表。しかし、完全な終結宣言には至っておらず、ETAは現在も米国やEUのテロ組織リストに掲載されています。