“ジョン・レノンが愛した定宿”が改装 森トラストのホテル戦略【WBS】
ロックバンド「ビートルズ」のジョン・レノン氏が夫婦で愛した長野県軽井沢町の老舗ホテル「万平ホテル」が全面改装し、16日に一部オープンしました。手がけた森トラストは近年、ホテル事業への投資を加速していて、2023年には奈良市で開業したほか、長崎市での開業も控えています。これらのホテルには、ある共通する戦略がありました。 リニューアルオープンした万平ホテルは130年の歴史を持つ、いわゆるクラシックホテルです。「アルプス館」は、国の登録有形文化財にも指定されています。そのため、木造の骨組みや天井を支える梁、ステンドグラスなどの部材は再利用。一方で見えないところで、耐震性や断熱性を高めたといいます。 夏になると、1カ月ほど家族と一緒に滞在していたというビートルズのジョン・レノン氏。レノン氏が食べた名物のアップルパイやスタッフに作り方を教えたというロイヤルミルクティーも当時のままです。 客の多くが常連だといいます。 「20年以上お世話になっている。新しい形でリニューアルされて、またこうやって来れたことをうれしく思う」(常連客)
伝統は生かしつつも、リニューアルで新たな客の獲得も目指します。フレンチのディナーコースでは基本のソースやブイヨンは変えず、盛り付けは華やかなものに。 若者や海外客を取り込みながら「森トラスト」はホテル事業の売上高を2031年3月期に現在の1.5倍となる1000億円に拡大する目標を掲げています。部屋数は2000室増やす計画で、去年奈良市では旧知事公舎を活用した高級ホテル「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル奈良」を開業。この冬には長崎市で旧修道院を改装したホテル「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」を開業します。 なぜ歴史的な建造物の再生に力を入れるのでしょうか? 「“ユニークさ”が重要だと思っており、歴史的な建物を再生しながらホテルとして運用・活用することこそが、唯一無二のプロジェクトとして心に刺さるのではという戦略でホテルを事業展開している」(「森トラスト」の伊達美和子社長) 全国各地でホテル開発が相次ぐ中、差別化したい考えです。 ※ワールドビジネスサテライト