どん底からの立ち直り方がわかる映画5選!
名作の影響を受けて誕生した再生の物語『素晴らしきかな、人生』
6歳になる愛娘を病気で亡くし、絶望のあまり抜け殻のようになってしまった会社経営者のハワード。彼に何とか立ち直ってもらおうと、共に会社を立ち上げた仲間たちが案じた一計は、時間、死、愛という概念が人間の姿を借り、ハワードにしか見えない形で次々と語りかけてくるといったものだった……。主演のウィル・スミスをはじめ、アラン・ローブの脚本を目にした誰もが感動のあまり出演を熱望し、結果的に滅多にお目にかかれないほどのオールスターキャストが実現した一作である。 ローブ自身が名作『素晴らしき哉、人生』(1946年)を意識しながら執筆したことからこの邦題が付けられているようだが、ストーリー的にはむしろ3人の聖霊が主人公のもとを訪ねてくる『クリスマス・キャロル』の変奏バージョンと捉えた方がイメージしやすい。しかもその筋書きには優れた展開部とラストのハッとする結末が用意されていて、1度のみならず、鑑賞するたびに、細部の丁寧な描き方に感心させられること間違いなし。知る人ぞ知る名作として、公開以来、静かな反響を巻き起こし続ける感動作だ。
文=牛津厚信 text:Atsunobu Ushizu