どん底からの立ち直り方がわかる映画5選!
一匹の猫が与えてくれたセカンドチャンス『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』
薬物中毒を断ち切ろうと努力しつつ挫折を繰り返してきたジェームズ。どん底の路上生活を続ける彼に思いがけない一筋の光が射す。一匹の猫が迷い込んで彼のそばに居ついてしまったのだ。やがてボブと呼ばれはじめた愛猫はどこへいくにもジェームズと一緒。今日も小銭を稼ぐためコヴェントガーデンの路上で弾き語りする最中、ボブはジェームズの首元に襟巻きみたく丸まって道ゆく人たちの表情をすっかり笑顔に変え……。一匹の猫がホームレスのミュージシャンに再起のチャンスをもたらすこの実話は、2010年に書籍がベストセラーとなり、映画版も世界中で愛される一本となった。 映画の中でジェームズは「誰にでもセカンドチャンスは訪れる。でも多くの人はそれに気づくことができない」と語る。彼の場合、愛猫の存在によって誰かのために何かをなす尊さを知ったからこそ、自ずと多くの人との出会いに恵まれ、それゆえ目の前のセカンドチャンスをしっかりと掴み取ることができたのだろう。柔らかくもポジティブな空気が伝播し、周囲がすっかり笑顔で満たされるこのひととき。ボブの仕草に心を奪われつつ、胸がポカポカと温かくなっていく作品だ。
人生が華麗なステップで満ちていくとき『世界にひとつのプレイブック』
元教師でメンタルの不調を抱えるパットはかつて妻の浮気現場に出くわし、一緒にいた男をボッコボッコに叩きのめしてしまった過去の持ち主だ。その後、精神科病棟での治療を終えてからも、彼はいまだ妻との復縁をあきらめず、挙句には感情が抑えられなくなり周囲を大混乱に巻き込む毎日。そんな中で出会ったのが、同じメンタルの不調を抱える女性ティファニーだった。パット以上にぶっ飛んだ個性を持つ彼女と交流するうち、話はとんとん拍子で展開し、彼らはどういうわけかペアを組んでダンス大会へ出場することになりーーー。 名匠ラッセルが5年に渡り何十回と脚本をリライトして磨き上げた意欲作なだけあって、センシティブなメンタルの問題を描きつつ、個々のキャラが生き生きと輝く極上のファミリードラマ&異色のラヴストーリーに仕上がった。とりわけ見どころなのはクーパーとローレンスが見せるクライマックスのダンスシーン。経験ゼロながら必死に習得して撮影に臨んだ二人の渾身のステップには、微笑ましさと共になんとも言えない胸の高揚を感じずにいられない。