ポルシェの[最高傑作]!? [992型GT3 RS]があまりにも完璧すぎる件
■東京で「特別なポルシェ」を味わう
ポルシェが世に送り出した6代目となるGT3RSを、首都高速と都内の一般道で試乗。結論から書いてしまうと、サブタイトルに掲げた「ポルシェを超えるのはポルシェだけ」という言葉が浮かぶほど、素晴らしい仕上がりだった。 個人的に911はスーパーカーではないと断言してきたが、この992型はスーパーカーと呼べるパフォーマンスを秘めていた。 取っ手を持って引くだけで軽さが感じられるドアを開け、室内に乗り込むと、豪華さと研ぎ澄まされたレースマシンの雰囲気が共存したインテリア。シートはバケット形状ではあるが、セレブを満足させる質感があり、体を包み込むホールド性も抜群だ。 この個体には、軽量化を図るための「ヴァイザッハパッケージ」が装備され、後部にはカーボン製ロールケージが備わり、特別なポルシェだと理解できる。 イグニッションキーを回すと、ポルシェ伝統の水平対向エンジンが力強い排気音とともに目覚めた。アイドリングでも、市販車とは思えない排気圧の高さでスペシャルなエンジンが搭載されていることがシートを通して伝わってくる。 トランスミッションは熟成された7速PDK。マニュアルモードでのシフト操作は安心感すらある。変速時のシフトショックはまったくない。もちろんATモードでも文句はない。ゆっくり走っていると素早く高いギアに移行して、燃費も抑えてくれる。 今回のインプレッションでは終始マニュアルモードで走行したため、燃費は6.25km/Lとなったが、ATモードならばより向上したはずだ。 整備された都内の道路では、シャシーの剛性の高さから若干硬さを感じるが、スポーツカーに慣れたドライバーにとっては心地いい。凹凸のある路面でも突き上げ感は軽微でストレスを感じるレベルではない。一般道ではその真のポテンシャルを感じることは難しいため湾岸線から首都高に入った。
■高い安定感と安心感でポルシェの魅力を堪能
加速車線でアクセルを踏み込むと、自然吸気エンジンとは思えないほどの力強さを発揮。4Lで525psという高出力でも、安心してアクセルを踏めるのは、熟成の域にあるリア駆動のトラクションを活かしたポルシェらしさだ。 加速時において全体的に安定性が高く、車体が浮くような感覚は一切ない。ステアリングにはフロントタイヤの接地感がリニアに伝わり、リアタイヤも路面をしっかり捉えていることがわかる。常にドライバーのコントロール下にある安心感がある。 旋回性能も高く、コーナリング時は終始安定して、自分がイメージしたラインを外すことはない。先代の991型でも高いポテンシャルを持っていたが、992型のスタビリティの高さは驚異的で、電子制御技術も優秀だが、サスペンション構造が格段に進化していることにも驚かされた。 最もシビれたのは空力性能だ。首都高の制限速度域でもエアロダイナミクスの優秀さがわかるほど。サスペンションやタイヤの性能だけではなく、旋回中に空力によって姿勢が崩れることなくスムーズに曲がれる感覚だ。 さらに直進時は速度が高くなればなるほど安定してくれる。公表しているトップスピードが300km/hに届かなかったのは、優れた空力が逆に影響したのだろう。 ポルシェ911GT3RSは、その時代ごとに最高の技術を投入して作られる高性能モデルだ。サーキット走行を意識した設計が特に魅力的で、その歴史は、ポルシェのモータースポーツへの情熱と、公道でその性能を楽しむための努力の結晶といえる。 GT3RSを自由自在に操るには高いドライビングスキルが必要だが、日常のドライブにおいてもドライバーをサポートする優れた機能が備わっているため、誰が運転してもポルシェ911の魅力を感じることができるだろう。