「タワマンの工事を受注したい」…管理会社による「理事会囲い込み」のヤバすぎる実態!“正常化”のカギは「ウェブサービスの活用」にあった【マンション管理クライシス】
タワマンなど、大規模物件では年間億単位にのぼるマンションの予算は「利権」と言っていい。その使い道を決める管理組合の理事会には大きな権限があり、管理会社にとってはいかに理事会をコントロールできるかが、自社の収益を左右する。(*記事内容は編集部が保証するものではありません。実際のマンションの状況に合わせて情報を参考にしてください) 【画像】定年後に「持ち家を売った」年金暮らし夫婦たち、そのヤバすぎる末路
管理会社による「理事会支配」を容易にする輪番制の罠
それを可能にする理事の選出方法が、部屋番号で1~2期ごとに順繰りで選出される「輪番制」だ。住宅ジャーナリストが言う。 「マンション管理組合の自治を司る理事会の役員選出方式は、7割のマンションで輪番制が採用されています。 表向きには公平性の担保や悪徳理事の続投を防ぎやすくすることです。しかし、輪番制は理事会の知見の蓄積や、専門性を有していてやる気や問題意識のある人の排除にも繋がる。最悪なのは、無関心でやる気のない人にも無理強いしてしまう制度ともいえ、これがチェックの甘い放漫経営の体制になりやすい。結果、管理会社に言われるがまま、不必要で割高な工事をしてしまい、管理組合にとっては莫大な経済的損失となります。そして積立金の値上げにも繋がってしまうのです。 特にタワマンなど大規模マンションでは、理事の経験が一巡するまでに20年以上かかる場合もあり、理事は常時、輪番制で選ばれたマンション管理に無関心な『イエスマン理事』ばかりという事態になりかねない。工事がやたら高額であることに気付いて調べ出した時には任期切れ、というわけです」
キックバックの実態
住宅ジャーナリストが続ける 「一般的に立候補制では、特定の理事の長期政権を招き、知り合いの業者に発注してキックバックを得るなど、不正の温床になるとされますが、実は管理会社も同様の手数料名目で、事実上のキックバック的な取引を合法的に行うことが可能です。というより、それが管理会社の基本的なビジネス手法でもあるのです」 つまり、人間が管理する以上、キックバックをもらう対象が恒常的に管理会社になるか、悪徳理事が就任した時かという違いでしかないのだ。 ただ、理事による不正は他の理事や管理会社を巻き込む必要もあって、不正行為自体は、実はそう簡単でもない。5年程度の任期を設定したり、メンバーの固定化を防ぐために半数は輪番制にして、立候補者は理事長に就任できないようにしたり、希望するオブザーバーの理事会参加を認めるなど、不正が働きにくくする方法はある。そもそも立候補制でも真面目な理事の方が大多数だろう。