白目にシミ?黒目が欠ける?「目の日焼け」の問題点 侮ってはいけない「紫外線のダメージ」を専門家に取材
日に日に日差しが強くなるこの時期。実は紫外線の量は5月ぐらいから増え始め、対策が必要になってくる。 そして、目も紫外線の影響をかなり受けやすいことをご存じだろうか。強い紫外線を浴びることで目も“日焼け”を起こし、繰り返せば、白内障や老眼の発症を早める。ときには視力が低下するおそれもあるという。 金沢医科大学眼科学講座教授で「特定非営利活動法人 紫外線から眼を守るEyes Arc」理事長の佐々木洋さんに、“目の日焼け”で生じる目の病気にはどんなものがあるかを聞いた。 【写真】白目が黒目に入り込む「翼状片(よくじょうへん)」とは、いったいどんな病気か?
日焼けをすると皮膚の皮がむけたり、シミやシワができたりするように、目にもさまざまな影響を及ぼす。 ■「目の日焼け」の起こり方 具体的にいうと、まず、目に入った紫外線の多くは目の表面にある角膜(黒目)で吸収される。ところが、一部は目の内側に入り込んで、水晶体や網膜など、目の奥に到達する。紫外線を浴び続けることで、これらの組織が傷つき、病気をもたらす。 目への紫外線の害には、大きく急性のものと、慢性のものとにわけられる。
急性のものは短期間で生じる。佐々木さんによると、一時的にでも目に強い紫外線を浴びると、いわゆる“目の日焼け”といわれる急性障害を引き起こすことがあるそうだ。代表的なものとしては、スキーのときの「雪目」がそれにあたる。 「スキーに限らず、テニスやゴルフなど、天気のよい日に屋外で2~3時間ほどスポーツをしたあと、目が真っ赤になっている人がいますよね。そのほとんどは目の日焼けが原因です」(佐々木さん)
これは強い紫外線によるダメージで角膜が傷つき、炎症を起こすことで生じるもので、「紫外線角膜炎(雪目はその重症型)」と呼ばれる。炎症がひどい場合は、角膜の表面がはがれ、強い痛みや異物感、充血、涙が出る、まぶしさを感じるといった症状が表れる。一時的な視力低下を引き起こすこともある。 紫外線を浴びたあと、先に挙げたような症状が表れたら、まずは目を休ませることが大切だ。 「まばたきをすると傷ついた角膜にまぶたがあたって痛むこともあるので、軽く目を閉じて安静にしていることが大事です。症状が軽ければ、そのままでも1~2日程度で治ることが多いです。痛みが強く、症状に改善が見られないときは、早めに眼科を受診しましょう」(佐々木さん)