そこまでする?父親の歪んだ愛が悲しい結末を招いた話→悲しくグロテスクなストーリーも「少女漫画」のフィルターをかけて読みやすく【作者に聞いた】
古今東西の昔の風俗知識を投稿する「昔の芸術をつぶやくよ」さん(「ヤスダコーシキ」名義で著作あり)(@LfXAMDg4PE50i9e)のグロテスクで怖くて切ない話を、陽向シズクさん(@hinata_shizuk)の手で少女漫画風に仕上げ、お届けします。怖さと美しさのアンバランスな共存に感情がぐちゃぐちゃに!? 【漫画】本編を読む 今回のお話は「ギスムンダと恋人の心臓」。今のイタリアがサレルノ侯国と呼ばれていた1000年以上前のお話だ。王だった父・タンクレーディは、自分の娘ギスムンダを盲目的に愛していた。しかし、ギスムンダが従者のイケメンと恋仲になったことを知ると、父は従者の心臓を……。グロテスクで切ない話を、昔の芸術をつぶやくよさんの可愛いキャラのツッコミとともに楽しもう。 ※一部ショッキングなシーンがあります。心臓の弱い方は閲覧をご遠慮ください。 ※本記事は発売中の「昔の芸術を〈少女漫画風に〉つぶやくよ」から一部抜粋・編集しました。 ■愛しさと残酷さと理不尽さと 本作「ギスムンダと恋人の心臓」は少女漫画風で描かれているが、かなりグロテスクなお話。作者のヤスダコーシキさんは、「この話はBernardino Meiの『ギスムンダ』(1650頃)という絵画がモチーフになっていて、憤怒と絶望で涙を浮かべたギスムンダが恋人の心臓を握りしめ、その握りしめた指の間から血が滴っているという凄まじい構図です。少女漫画になる事でかなりマイルドになるのかなと思いましたが、しっかり残酷さと理不尽さが伝わってきました」とモチーフとなった絵画について教えてくれた。 娘は、殺されてしまった恋人の心臓に繰り返しキスをし、やがて血と涙が溜まった心臓に自ら毒を盛って亡くなったとされる悲しい話。 「ヤバイ父親」は他の昔話にも登場するそうで、ヤスダさんは「おとぎ話ではなく実話ですが、ロシアのイヴァン雷帝はかなりひどい父親だと思います。彼は数々の政敵や気に入らない人々を虐殺して、最終的に後継者であった息子とその身重の妻まで杖で叩き殺しています。彼は息子どころか孫まで殺したという事になりますね」と語った。 悲しくグロテスクなストーリーも「少女漫画」のフィルターをかけると途端に読みやすくなってしまう不思議な本シリーズ。今後も注目していきたい。 取材協力:ヤスダコーシキ(@LfXAMDg4PE50i9e)