ドラッグ依存のホームレスが急増、空き店舗も続々…ドジャース球場から20分「ロス郊外」のヤバい治安
サンタモニカのホームレス人口は、今年6月時点での市の発表では774人で、昨年と比べると6%減少している。 だが、アレ氏のグループが深夜に街を歩いて独自に調査したところ、その数は2000人を超えていたという。 「夜間シェルターに空きがなくて入れない人たちが、深夜にサンタモニカの商店街や海岸、公園、駐車場を目指してやってくる。彼らに水のボトルを渡して話を聞くと、早朝にはまた移動して別の場所に行くと言っていた」とアレ氏。
人々が路上で生活することを禁ずる市の条令はあるのだが、ホームレスたちが日々移動し続ける限り、彼らをシェルターに収容し続けるのは難しく、シェルターの数も足りていない。サンタモニカ市が商業ビルを買い上げ、ホームレス用の住居にする計画を公表すると、近隣住民の反対運動が起き、それも立ち消えになった。 今、プロムナード商店街には「交番ボックス」に似た警察の相談窓口が設置され、商店街は民間の警備会社と契約して警備員を配置している。実際に筆者が歩いてみた時も、2人組の男性警備員がパトロールしていた。だが、彼らは警官ではなく、銃は携帯していない。
■大型書店やグーグルストアの新規出店も そんな中、明るいニュースもある。 プロムナード商店街に、「バーンズ&ノーブル」という大手書店チェーンの店舗が今年8月に開店したのだ。6年前にこの商店街からバーンズ&ノーブルの店舗が撤退してから、住民たちがずっと待ち望んでいたカムバックだった。 店内に入ってみると、1階部分にはフィクションからヤングアダルトまで多種の書籍がずらっと並び、地下階は子ども用の書籍売り場や玩具売り場で、あらゆる年代の住民のニーズに対応する店舗設計であることがわかる。
また、今後、グーグルストアの新規オープンも決まっており、少しずつではあるが、再開発の息吹が感じられる。 「安全な街を!」というスローガンを掲げ、現職市長を含め10人の立候補者が市議会議員の4席を競い合っている。そもそも「安全と治安を守れ」というのは、本来なら、保守である共和党のスローガンだったはずだ。 それが、全米で最もリベラルな街の1つである、サンタモニカでいま切実に求められているーーこれがカリフォルニアの2024年の現実だ。
長野 美穂 :ジャーナリスト