米大型ハイテク株とは一線を画するアジア株式、相関係数の低下と「成長+配当」の魅力で分散投資の候補に
米国株のこれまでの主役が「成長株」で株価の値上がりというキャピタルゲインを狙った投資対象であったことに対し、アジア株式は、高い経済成長に伴う株価の値上がりというキャピタルゲインに加え、配当収入というインカムゲインをも狙えるという両面での魅力がある。異なる性格を持った株式であるという点がユニークだ。
加えて、レポートは、「2003年~2013年の間は、貿易と国際資本移動により各国・地域の経済の相互連結性の高まりを背景に、(米国株式市場とアジア株式市場の)相関は緩やかに上昇したが、最近10年(2013年~2023年)は、グローバル化の後退、地政学的緊張の高まり、成長軌道の相違などにより、相関は低下した」と指摘している。実際に、「MSCI AC Asia ex Japan Index」と「S&P500」の相関係数は、2003年~2013年の10年間は0.8程度だったが、2013年~2023年は0.65程度に低下している。1993年から2003年の10年間は相関係数が0.6程度であったため、現在はそれよりやや高い水準だが、明らかに2013年ころよりも低下している。
イーストスプリング・シンガポールのポートフォリオ・マネジャーであるSundeep Bihani氏は、「地政学リスクと規制、そして、新型コロナ後の経済活動再開の遅れなどがアジア企業の収益の重しとなり、過去10年間にわたりアジア株式市場のパフォーマンスは先進国のほとんどの株式市場を下回っている。その結果、アジア株式の現在のバリュエーション水準は、株価純資産倍率(PBR)と株価収益率(PER)の両方で非常に魅力的なレベルにある」としている。中間所得層の拡大、好ましい人口動態、技術革新の進展に支えられ、引き続き高い経済成長が期待できるアジア株式に、改めて注目したい。(グラフは、過去3年間の米S&P500とアジア株価指数の推移)
ウエルスアドバイザー