米大型ハイテク株とは一線を画するアジア株式、相関係数の低下と「成長+配当」の魅力で分散投資の候補に
8月28日に発表された米半導体大手エヌビディアの第2四半期決算(5-7月期)は、売上高が前年同期比2.2倍、純利益が同2.7倍という好調な内容で、第3四半期(8-10月)の売上高予想も約325億ドルと、市場予想の平均317.7億ドルを超える強気の見通しだった。にもかかわらず、同社株価は決算発表直後の時間外取引で6%超も下落した。純利益が3倍近くに成長し、かつ、500億ドルの自社株買いをも発表しても株価が下落するというのは、これまでに同社株価がいかに割高な水準に買われてきたかということを示しているようにみえる。期待を上回る決算を発表しても株価が下落するなら、期待を下回る決算には、より大きな株価下落が待っているかもしれない。米国には利下げ期待があるものの、その背景には景気の鈍化、そして、景気後退(リセッション)への懸念がある。米国株への投資に慎重に取り組むとともに、米国以外の成長市場への分散投資も検討しておきたい。
昨年来、米国大型ハイテク株には「割高」の指摘がある中で、実際の株価は高値を更新してきた。大型ハイテク株の株価の影響を受けやすい「S&P500」や「NASDAQ総合」は、今年7月まで史上最高値を更新した。中でも、AI(人工知能)関連の中核として注目されてきたエヌビディアの株価上昇は割高懸念を吹き飛ばす勢いがあったが、いよいよその勢いにも陰りが見え始めたのかもしれない。
エヌビディアの株価は、2022年12月末の14.61ドルが、2023年12月末には49.52ドルに1年間で3.4倍に上昇した。そして、2024年6月の高値は140ドルを超えた。2022年12月末と比較すると約9.6倍という株価上昇だ。わずか1年半という短期間で株価を9倍以上に押し上げたのは、同社の半導体が使われるAI市場が急速な発展期を迎えたという期待の高まりだ。AIはこれから、様々な機械に組み込まれて、PCやスマートフォンなどのように日々の生活に当たり前に存在して活用されるようになると目されている。その中心になる存在がAIを動かすプラットフォームや半導体を提供するエヌビディアといわれている。実際に、2023年に発表されたエヌビディアの業績は大幅に伸び、市場の事前予想を上回る内容になることが常態化し、その結果を受けて株価は右肩上がりに上昇を続けてきた。