米大型ハイテク株とは一線を画するアジア株式、相関係数の低下と「成長+配当」の魅力で分散投資の候補に
ところが、今回の決算発表は、市場の予想を上回る決算の見通しを示したにもかかわらず株価は下落するという反応になった。もちろん、一時的な株価下落で、今後、株価が再び最高値を更新する動きになるかもしれない。ただ、今回の決算発表を「材料出尽くし」ととらえて、利益確定の売りを急ぐ投資家が少なくなかったことが株価の下落には表れている。「時代の象徴」ともいえるエヌビディアですら、「市場の期待を超える業績をあげ続けるのは難しいのではないか(市場の期待は過大なのではないか)」と警戒されるような株価水準にあるということだろう。今年6月ごろから、米国株式市場では、企業の決算発表への株価の反応として「好決算にはさほど大きく反応しないものの、期待を下回る決算には株価が急落する」という悪材料に敏感な反応が目立つようになっている。
米国株式以外に投資対象を求めると、市場の規模や流動性、過去のパフォーマンス実績などで比較して、代替となるような市場をみつけるのは難しい。また、米国株式に高値警戒感が根強いとはいえ、株価がこれ以上は値上がりしないというわけでは決してない。割高に値上がりした株価には、業績等が期待値に届くほどに拡大することを待って次のステージに進めるため、当面は株価の足踏み状態が続くかもしれないということだ。
米国株価が足踏みするのであれば、その間に値上がりが期待される市場があるのであれば、そちらに資金の一部を移すことでトータルとしてのリターンを向上させることに役立つ。8月29日にイーストスプリング・インベストメンツが発行した「アジア株式の30年:成長と投資機会の旅」というタイトルのレポートは、分散投資先の1つとして「アジア株式」があることを示している。レポートによると、「過去30年間でアジア株式に投資した資金は、その後平均で5倍以上のリターンを記録」、「配当収入はアジア株式のトータルリターン(配当を再投資したリターン)の大きな源泉であり、30年間のMSCI AC Asia ex Japan Indexのトータルリターンのうち60%以上を占める」という。