5時間半の対峙の末、尹大統領逮捕は不発…国家機関が互いに「違法」 一触即発の対立(2)
◆公捜処「令状執行は不可能…崔相穆代行が警護処に協力命令を」 令状執行中止後に公捜処の関係者は「100人規模ではとうてい(逮捕状執行のために)進入できない状況だった」とし「公捜処の検事3人が官邸の前まで行って令状を提示したが、尹大統領側の弁護人が出てきて従来の立場を繰り返し、令状執行を拒否した」と明らかにした。この日、官邸で合同捜査本部と向き合った尹大統領法律代理人団は金洪一(キム・ホンイル)弁護士、尹甲根(ユン・ガプクン)弁護士だ。 尹弁護士は公捜処の検事が令状を提示しながら官邸捜索と尹大統領逮捕の意思を明らかにすると、「捜査権のない機関が不法に発行した令状に応じることはできない。早期に選任届を提出するのでその後に手続きを協議しよう」と提案した。警護処の捜索・逮捕不許可の立場と尹大統領弁護団の強硬な立場の中、令状を執行する現実的な方法がなかった合同捜査本部は結局、大統領官邸から撤収した。尹弁護士は合同捜査本部に提案した「後続手続き」の意味について「公捜処の調査に応じるという意味でなく(公捜処の捜査の)不法要素を除去して適法な手続きを模索しようという方向」と説明した。 昨年12月31日にソウル西部地裁が発付した尹大統領に対する逮捕・捜索令状の有効期間は6日0時までだ。公捜処の立場では令状再執行期限まで3日しか残っていない。合同捜査本部はひとまず令状執行妨害に関する現行法違反容疑に対して警察が捜査をし、公捜処は実効性がある逮捕状執行案を新たに用意する予定だ。 警察特別捜査団はこの日、朴鍾俊(パク・ジョンジュン)警護処長とキム・ソンフン警護処次長を特殊公務執行妨害容疑の被疑者として立件し、4日までに出頭して調査を受けるよう通知した。警察はこの日、現場でも逮捕状執行を阻止する朴処長を逮捕しようとしたが、呉東運(オ・ドンウン)公捜処長が引き止めたという。 警護処は「公捜処と国捜本が法的な根拠もなく警察機動隊を動員し、警護区域と軍事機密施設を施設長の許可なく出入り口を壊し、さらに勤務者を負傷させて無断に侵入したのは極めて遺憾だ」とし「不法行為をした責任者と関係者に対して法的措置を通じて必ず責任を問う」と明らかにした。 警護処は尹大統領に対する逮捕状が発付されて以降「官邸は大統領警護法上の警護区域」という立場を固守し、尹大統領法律代理人団も公捜処の令状請求を「権限がない機関の違法な令状請求」と批判してきた。このように逮捕状執行の拒否が予想される状況だったが、合同捜査本部は特別な対策もなく官邸に向かったということだ。もちろん裁判所が発付した逮捕状は拒否する法的根拠がないが、警護処が違法を覚悟しながらも物理力を動員する状況は十分に予想できただけに、合同捜査本部も追加の対策を用意する必要があるという指摘が出ている。 公捜処側はこの日午後、呉東運公捜処長が対策会議を開き、期限内に逮捕状を再執行したり直ちに拘束令状を請求したりするなど選択可能な案についてその実効性を点検した。ただ、警護処が官邸捜索を許可しないという従来の立場を変えない限り、逮捕状再執行をしてもこの日と似た結果となる可能性が高い。物理的な衝突を覚悟する場合、流血事態が生じることも考えられ、公捜処は逮捕状を執行するためのこれといった手段がないという点で困惑している状況という分析だ。 公捜処が逮捕状の再執行なく直ちに尹大統領を起訴する手続きに入る可能性にも言及されている。公捜処は現職大統領を捜査することはできるが起訴できる権限がないため、この場合、事件を検察に移して公訴提起を要求しなければならない。これに先立ち検察は金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官、呂寅兄(ヨ・インヒョン)防諜司令官、李鎮遇(イ・ジンウ)首都防衛指令官らを起訴したのに続き、この日、朴安洙(パク・アンス)前陸軍参謀総長と郭種根(クァク・ジョングン)特戦司令官も起訴した。その多数が尹大統領が国会・選管委の掌握、政治家逮捕組の運用などを指示したという事実を認め、尹大統領の内乱首謀容疑は相当部分立証された状態だ。 ただ、公捜処が尹大統領の対面調査もできないまま事件を検察に移す場合、尹大統領に対する捜査で存在価値を証明して位置づけを強化しようとしていた計画は力を失う可能性が高い。公捜処は非常戒厳が解除された先月4日、呉処長の直属でタスクフォース(TF)チームを構成した後、所属検事・捜査官全員を投入して捜査を行ってきた。