「天高く馬肥ゆる秋」四角形を手掛かりにペガススとアンドロメダを探そう
秋の夜空には、目立った明るい星はないので、街中から見上げると星があまり見当たらず、少し寂しいと感じるかもしれません。けれど、ちゃんとそこには星が輝いています。街灯りに隠れた秋の星座たちを探してみませんか? 【連載】東京で見える星たち
秋の星座を探す四角い目印
頭の真上を見上げてみてください。4つの星でつくる四角い形が「秋の四辺形」です。春・夏・冬は三角形でしたが、秋だけは全て二等星の星でつくられた四角い形が目印となります。さらに秋の四辺形は、それ自体が星座の一部になっているのです。西側に輝く暗い星たちを結ぶと、2本の足と長い首と顔が描けます。逆さまになった馬のようですが、星座の絵を見ると天馬ペガサスの姿です。星座の名前は「ペガスス座」とラテン語読みが使われています。 秋の四辺形がペガスス座にあることから「ペガススの四辺形」とも呼ばれています。また日本のある地方では、その四角い形から「枡形(ますがた)星」と呼んでいたとか。「天高く馬肥ゆる秋」に空高く輝くペガスス座。たくさんの秋の実りをおいしくいただたのか、大きくなったペガサスのお腹の四角は、私たちに食欲の秋の到来を知らせているのかもしれませんね。
馬のへそがお姫さまの頭?
ペガスス座を見ると、なぜ上半身しか描かれていないのか? と思われるかもしれません。それは、下半身が雲の中に隠れているからという説があります。しかし本当は、別の星座があるために下半身を描くことができなかったのです。 秋の四辺形の左上の二等星「アルフェラッツ」は「馬のへそ」という意味があり、かつてはペガスス座の星でした。けれど、星座の境界線が正式に決められた現在では「アンドロメダ座」の星となっているのです。 アルフェラッツから星を北東にたどると細長く、いびつなアルファベットのAの形に星が並んでいるのがわかります。 それがアンドロメダ座。古代エチオピア王家のお姫さまの姿が描かれています。アンドロメダ姫の頭の星が馬のへそになっているので、ちょっと可哀想な気もしますね。しかし、ペガスス座からしたら、おへそがなくなって困っているはず。ここは仲良く、アンドロメダ座の星の並びとペガスス座の並びを合わせてみると、まさに空を駆けるペガススの全身に。ペガススを主役のように立ててあげている謙虚なお姫さま、一緒に見つけてあげてください。