年末年始に観たい! 滝藤賢一がハマった2024年映画ベスト5【まとめ】
俳優・滝藤賢一による連載「滝藤賢一の映画独り語り座」の中から、2024年に紹介した映画5本を編集部がピックアップ! ※2024年1月~9月号掲載記事を再編。 【写真】年末年始に観たい!滝藤賢一がハマった2024年映画ベスト5
1.滝藤賢一も呆然…地獄へと堕ちていく母親を劇的に描いた映画『西湖畔に生きる』
格差社会を描いた映画のアイコンといえば、トッド・フィリップス監督の『ジョーカー』。ホアキン・フェニックスの狂気は鮮烈で、今秋公開されるレディー・ガガとの続編も楽しみでなりません。ああいう存在は拝金主義とかドラッグの問題とか、都会だからこそリアルに感じ、共感できるものだと思っていましたが……。ジョーカーは中国の美しい茶畑からも生まれていたのです。 今年36歳のグー・シャオガン監督の『西湖畔に生きる』。中国の国茶、龍井(ロンジン)茶の産地、杭州・西湖が舞台です。夫が失踪して十数年、女手ひとつで息子ムーリエンを育ててきたタイホア。朝から晩まで多くの仲間と茶摘みをしている。寮に戻っても、学生のように大部屋で共同生活。恋バナに花を咲かせ、女子会トークでキャッキャッして楽しそう。 茶園主との恋。母親思いの息子。ささやかな夢。小さな幸せを噛み締めるように生きていて、観ていて癒やされます。しかし、あることをきっかけに突如、茶園から追放されてしまう。そんな行き場をなくした彼女に救いの手を差し伸べたのが違法なマルチ商法の企業でした。
2.滝藤賢一が大号泣した親子の物語『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
2024年もいよいよ秋シーズンに突入。過ぎ去ったこの夏、世間はオリンピックで賑わい、代表選手を育てたご家族の感動秘話にも心を打たれました。華々しい場に送りだすまでにいろいろなことがあったと思いますが、子育ての参考として競技と同等に興味を持って見てしまいますよねえ。ドラマがあります。 子育て映画も同様、観ると猛烈に感情移入してしまうんです。今作の主役の吉沢亮くん、若かりし頃の自分と重なり、猛省しました。吉沢君演じる大は、聴覚障害者である両親のもとに産まれます。大は聴覚があり、以前、本連載で紹介したフランス映画『エール!』と、アメリカのリメイク版『コーダ あいのうた』の主人公と同じCODA(Children of Deaf Adults)です。 前者は、聞こえる子が聞こえない親を支える葛藤が描かれていましたが、今作は障害者、健常者という垣根がありません。親の聴覚障害が日常の一部として描かれ、どの家庭にでも起こりえる、子供の思春期、親の悩み、家族の幸せ。誰しもが通った親子の風景がメインに描かれている。 もちろん、聞こえないことで大変なことはたくさんあるが、そこがフィーチャーされているわけではない。だからか、客観的に物語を観て感動するというよりは、まるで主人公の人生を自分が生きているような錯覚に陥り、どのシーンも自分に置き換わってしまう。刺さり方がエグかったです。