「何で助け出すことできないのか」 横田めぐみさん拉致から47年、少女は60歳に…母の訴え切なく響く
新潟市で北朝鮮に拉致されて11月15日で47年となった横田めぐみさん=失踪当時(13)=ら、拉致被害者の帰国を訴える「忘れるな拉致 県民集会」が16日、新潟市中央区の市民芸術文化会館で開かれた。めぐみさんの母早紀江さん(88)がオンラインで参加し、「何で助け出すことができないのか。不思議でむなしい」と進展のない現状へのもどかしさを語った。 横田早紀江さんの動画メッセージはこちら 新潟日報社、新潟県、新潟市が主催し、約730人が来場した。 早紀江さんは「あまりにも長い47年。誰が(首相に)なっても何もない状態でおいてけぼり。解決してほしい」と切実な思いを画面越しに述べた。 めぐみさんの双子の弟の拓也さん(56)と哲也さん(56)は、日本政府の拉致問題に対する姿勢に疑問を呈した。拓也さんは日朝間の水面下交渉が報じられていることに触れ「水面下の交渉があったとしても、拉致被害者本人と(家族が)会えなければ合格とは言えない。真剣に向き合ってほしい」と訴えた。 佐渡市の拉致被害者、曽我ひとみさん(65)は、共に拉致されたまま消息が分からない母ミヨシさん=失踪当時(46)=について「ただ横にいてくれるだけで本当に幸せ。日本に帰ってきたら、母にたくさんのことをしてあげたい」と語った。 拉致の可能性を排除できない特定失踪者の家族も登壇した。新潟市西蒲区出身の大沢孝司さん=失踪当時(27)=の兄昭一さん(88)、長岡市の中村三奈子さん=失踪当時(18)=の母クニさん(81)が、行方が分からなくなった当時の状況を説明し、一刻も早い再会を願った。糸魚川市の藤田進さん=失踪当時(17)=の妹もメッセージを寄せた。 「北朝鮮情勢と拉致問題」と題し、伊豆見元・東京国際大特命教授が講演したほか、新潟医療福祉大(新潟市北区)ダンス部が拉致問題をテーマにした演舞「今、この祈りに終止符を」を披露した。 家族らは署名約3万3千筆を政府側に手渡した。 ◆辻清人内閣府副大臣が拉致現場を視察 県民集会に先立ち、 辻清人内閣府副大臣が16日、横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されたとされる新潟市中央区の現場を視察した。辻氏は拉致被害者全員の帰国に向け一層努力するとし、「拉致問題の解決はわが国にとって最優先事項であることを改めて胸に刻んだ」と述べた。 県や県警の担当者から地図を使った説明を受けながら、めぐみさんが通っていた寄居中から自宅があった場所を通り、海岸まで歩いた。 視察後、辻氏は「深い憤りと、帰りを待つご家族に対して申し訳ないという気持ち」を抱いたと話し、政府として問題解決に力を注ぐと強調した。