なぜ今年も?自民党旧派閥からの寄付、計1千万円の不記載や誤記載 裏金事件の「激震地」あれだけ問題になったのに…議員側の釈明は
自民党裏金事件を受けて解散表明した派閥からの寄付金について、今年も政治資金収支報告書に記載していないケースが相次いだことが共同通信の取材で分かった。11月に公開された2023年分の収支報告書では、旧安倍派や旧岸田派、旧茂木派の国会議員計8人が代表の政党支部で、派閥からの寄付金を記載していなかったり、誤って記載したりしていた。不記載、誤記載の総額は1千万円に及ぶ。派閥からの還付金(キックバック)の不記載が23年末からあれだけ問題になった中、その後に提出した収支報告書でも、なぜ「ミス」が相次いだのか。(共同通信=高津英彰) 【写真】世耕氏「みそぎの思い全くない」 裏金関与、衆院選当選で
▽旧派閥からの寄付金を追跡 共同通信は11月から12月上旬にかけ、総務省などが公開した23年分の政治資金収支報告書を分析。旧派閥から議員側に支出された寄付金を追跡した。 政治資金規正法は、政治団体の1月1日から12月31日までの収支などを記した収支報告書の作成と公表を義務付けている。国会議員関係政治団体の提出期限は5月末で、裏金事件が大きく問題化した後に提出されている。不記載や虚偽記載には「5年以下の禁錮または100万円以下の罰金」という重い罰則もある。各議員の事務所に質問状を送り、理由や見解を聞いたところ、いずれも事務的なミスであるとの釈明が相次いだ。 【不記載】 ▽旧安倍派(清和政策研究会)からの寄付 元経済産業副大臣の関芳弘衆院議員が代表の「自民党兵庫県第3選挙区支部」の不記載額は50万円。関氏の事務所は取材に「清和政策研究会からの寄付は、第3選挙区支部で普段使っている口座と異なる口座への振り込みで、収支報告書に記載する際に失念してしまった」と説明した。
関氏は清和政策研究会から18~22年に受け取った裏金計836万円を選挙区支部の収支報告書に記載せず、自民党から戒告処分を受けている。一度処分を受け、人一倍気を付けなければならない立場で、不記載が見つかった形だ。 外務政務官の生稲晃子参院議員が代表の「自民党東京都参議院選挙区第6支部」の不記載額も50万円。生稲氏の事務所は文面で「確認したところ、当該寄付収入について記載漏れがございました。速やかに訂正手続きを行いました。今後は、こうしたミスが再発しないよう、事務処理の管理体制をさらに徹底してまいる所存です」と回答した。 ▽旧岸田派(宏池政策研究会)からの寄付 法務政務官の神田潤一衆院議員の「自民党青森県第2選挙区支部」の不記載額は100万円だった。神田氏の事務所は「宏池政策研究会から寄付金を受け取った際に領収書を出していたが、事務的なミスで収支報告書に載せていなかった。記載ミスだった」と説明。