ラーズ・ヌートバー メン・オブ・ザ・イヤー・ブレイクスルー・ベースボール・プレイヤー賞──WBC制覇を牽引したカリフォルニア育ちの侍戦士
ラーズ・ヌートバーは「ブレイクスルー・ベースボールプレイヤー賞」を受賞。侍ジャパンでは初となる日系メジャーリーガーとしてWBC制覇の原動力となったリードオフマンに訊いた。 【写真を見る】ヌートバーが、エルメス、アルマーニの最旬ファッションを着こなす!
待ち人はセダンタイプのタクシーから窮屈そうに降りると、駐車場をのしのしと歩き始めた。スタジオ入りの様子に密着するテレビクルーの照明に照らされて、ビッグスマイルと大柄なシルエットが浮かび上がる。スーパースターがやってきた! といった光景だ。 身長190センチ、体重95キロ、胸囲107センチ、ヒップ114センチの体躯は、ラグビー選手のよう。「自分にとって欠かせないアイテム」と語る足元のエア ジョーダンのサイズは12、日本サイズで30センチだ。 『GQ JAPAN』の取材チームを見つけると、時刻は16時だったが、「おはようございます!」と日本語で挨拶。力強い握手を交わす。左手にグランドセイコーの腕時計を見つけた記者が「翔平からのギフトですよね?」と指摘すると、「わかりましたか? 気に入って使っています」と英語で嬉しそうに返してくる。 撮影もこなれたものだ。ラグジュアリーブランドの最旬ファッションを軽やかに着こなし、フォトグラファーからの微妙な指示にも勘良く応える。それにしても絵に描いたようなナイスガイである。「直接話したら100%、全員が好きになる。愛すべき人柄」と評した、侍ジャパン栗山英樹監督の言葉を思い出した。 ラーズ・ヌートバーは、オランダ系アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれた日系メジャーリーガーだ。だが、栗山が記者会見でヌートバーの代表入りを発表したとき、賛成の声は少なかったように記憶している。侍ジャパンに日系外国人選手が入るのは初めてのことだ。
「家族全員が侍ジャパン入りを喜んでくれました。母から日本代表のユニフォームの重みや、日本文化についていろいろ学びました。代表に選ばれたのは人生最高の名誉です」 母の久美子さんは、子どもたちが小さな頃から「目上の人をリスペクトする」「時間を守る」「友達と仲良くする」と、言いつけてきたそうだ。そのおかげもあって、ヌートバーには日本流の礼節が染みついている。 栗山は「世界一をつかむために、大きな戦力となると考えた」と選考理由を語ったが、ヌートバーの代表入りを決断した背景には「世界が一つになるために、スポーツを通してメッセージを伝えられないか」という思いがあった。混乱が続く国際情勢への思いもあったようだ。 実際のところ、当時25歳のナイスガイにはムードメーカーとしての役割はもちろん、即席チームが一致団結するために欠かせない、多様性を象徴する存在としての期待があったはずだ。栗山の賭けは吉と出た。
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