【天皇賞・秋】武豊、「この馬本来の末脚出た」G1で4勝目のドウデュース 鞍上で人さし指1本立て「1着の1です」と笑顔
◇27日 第170回天皇賞・秋(G1・東京・芝2000メートル) 後方に構えた単勝2番人気のドウデュース(牡5歳、栗東・友道)が直線外から鋭く伸びて差し切り、G1・4勝目を挙げた。武豊騎手(55)=栗東・フリー=は歴代最多タイとなる天皇賞・秋7勝目、友道康夫調教師(61)=栗東=は天皇賞・秋は初勝利。2着は9番人気のタスティエーラ、3着は8番人気のホウオウビスケッツ、1番人気のリバティアイランドは13着だった。 大外一気を決めたゴール板。ドウデュースの鞍上で、武豊は右手を挙げ、人さし指を1本立てた。2歳で朝日杯FS、3歳で日本ダービー、4歳は有馬記念。毎年G1を1つずつ勝ってきた相棒と、5歳は天皇賞・秋。ラストシーズンと決まっている秋初戦で、4年連続G1勝利に導いた。 「めちゃくちゃうれしいです。ものすごい脚でした。この馬本来の末脚が出ましたね。今日(27日)の勝利は本当にうれしいですね」。いつもは努めてクールなレジェンドが、この日ばかりは感情を真っすぐ表に出した。 1000メートル通過が59秒9と、古馬の最高峰レースとしてはかなりのスローペース。実際、逃げたホウオウビスケッツも3着に残った。「ペースが遅かったですけれど、これしかないかなと。これで駄目なら仕方ないという気持ち。でも手応えはすごく良かったです。ダービーの3~4コーナーを思い出すような。倍速で走っているみたいでしたね。届いたと言うより、完全に差し切った。すごい脚でした」。あまたの名馬の背中を知る名手が、繰り出した上がり3F32秒5の末脚を手放しで褒めちぎった。 勝つか、複勝圏外か。3歳秋以降の成績は山あり谷ありだが、この日は落ち着いていた。友道師は「春2戦は馬っ気が強くてイレ込んでいたが、今回は装鞍所から落ち着いていた。夏を過ごして、帰ってきたときは馬っ気を出すようなこともなく、落ち着いて帰ってきましたから、大人になったなと」。ここに来て精神的に大人になったハーツクライの鹿毛は、もう安定して力を出し続けられる。 無事なら残りはジャパンCと有馬記念。ジャパンCにはディープインパクトのラストクロップであるアイルランドのオーギュストロダンが参戦を予定している。「いいラストシーズンにしたい。強い外国馬が来るようなので、日本代表として迎え撃ちたい」と鞍上が言えば、友道師も「強豪が来るようですが、日本代表として頑張りたい」と口をそろえた。 「あれは1着の1です」。武豊は笑ったが、1カ月後のゴールで、レジェンドはまた指を立てて喜びを表現するはずだ。
中日スポーツ