上場来高値の3分の1まで下落した「ANYCOLOR」、ストップ高まで株価を押し上げた2つの要因とは?
ストップ高まで株価を押し上げた別の要因
とはいえ、決算の数字だけでストップ高まで株価を押し上げたわけではありません。強力な追い風となったのは、同時に発表した自社株買いです。 ①取得の上限は400万株で、これは発行済株式総数に対する割合は6.40%となります。通常、2%以上あれば多いほうなので、非常にインパクトがあります。資本効率の向上と株主還元強化が自社株買いの目的で、営業キャッシュフローをしっかり稼いでいる当社にとっては、ベストなタイミングでの発表でした。 ②取得期間は、6月31日から8月31日の2ヶ月間とわりと短めで、市場買付を行いますので受給がかなり引き締まります。 ただし気をつけたいのは、必ずしも上限いっぱいまで自社株買いを行うわけではないということです。④株式の取得価額の総額は75億円を上限としていますので、もし400万株すべてを買うとしたら、取得株価は、1875円以下になります。現時点(6月16日)の株価は、2812円ですので、ここから大きく下げなければ上限いっぱいを買うのは、不可能です。 仮に株価がこのまま2800円程度で動かないとしたら、267万株程度買うことができますが、株価が上昇すれば、買付できる株数はますます減少しますので、実際の自社株買いによる効果は、発表時のインパクトよりはかなり小さいものです。その点も踏まえておかないと、高値掴みになってしまうので要注意です。
購入タイミングの狙い目は?
決算説明資料に、わざわざと言っていいような資料がありました。2025年4月期の第1四半期は、前年同期比で減収減益になるという予告です。実際に、減収減益になったときのネガティブサプライズを小さくするための作戦だと思いますが、通常ではあまりないことです。これ以上、株価を下げたくないという会社側の気持ちの現れにも感じますが、その本意は分かりません。 いずれにしろ、この資料は株価購入タイミングのヒントになります。新年度予想の好調を期待して株価が上がっていれば、減収減益の発表でがっかり売りが出るはず。その数字が、当初の想定通りであれば、絶好の買いタイミングになりそうです。 どこまでこの情報を株価が織り込むかによりますが、案外投資家は忘れやすいものです。減収減益のヘッドラインで売られた場合は、即座に拾う心づもりで今から待機しておくつもりです。 ※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
藤川 里絵(個人投資家/CFP)