快勝を井岡一翔(中央右)に祝福された堤駿斗

　ボクシングのWBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦が31日、東京・大田区総合体育館で行われ、同級9位・堤駿斗（25＝志成）が同級レネ・アルバラード（35＝ニカラグア）を8回1分55秒TKOで破り、同王座挑戦権を獲得した。 【写真】リングガールらと記念撮影する堤駿斗 　大みそかの顔である同門の先輩、WBA世界スーパーフライ級6位・井岡一翔が同級王者フェルナンド・マルティネス（アルゼンチン）に挑む一戦が、マルティネスのインフルエンザ感染により前日に中止。急きょメインイベントに繰り上がり、2024年の大トリを務めた堤にとっては、4月の前戦で1・6キロの体重超過を犯したことによる6か月の資格停止処分が明け、1階級上げて汚名返上をかけた復帰戦でもあった。 　アマチュア13冠を獲得するなど卓越した技術を持つ堤は、元世界王者で14敗しながらもKO負けは1というタフネスのアルバラードを相手に、固いガードから精度の高いパンチを上下に打ち分けて優位に試合を展開。5回には左フックから連打を浴びせた。そして、8回。再び左フックから鬼気迫る表情で猛烈な連打を浴びせ、ストップを呼んだ。 　危なげない快勝に、堤は「それなりに合格点ですかね」とやや控えめな自己評価だったが、倒して今年を締める意識は「ありました」という。5回のチャンスは「相手がタフなので、ここで体力を使うと判定になってしまうかもしれないのが頭をよぎった」とあえて抑えたそうで「7、8、9回に必ず来る」と冷静にチャンスを待って最後に爆発させた。 　資格停止中は何度も引退を考えたが、チーム、家族ら支援者の恩返しのために再起を決意。そして井岡からは、7月の前戦の前に「次は俺が見せるわ」と言葉をかけられ、その試合で敗れたものの12回を戦い抜いたプライド、さらに「もう一回はい上がるわ」と言われたことにも、気持ちを奮い立たされた。 　この日の試合後のリング上でも井岡に「最高やった。来年は絶対世界戦やれるよ」と祝福され、「一緒に来年、世界チャンピオンになりましょう」と誓い合ったことを明かした。 　WBA同級王者ラモント・ローチ（米国）は来年3月に同ライト級王者ジャーボンテイ・デービス（米国）との対戦が決まっており、今後の流れは流動的。挑戦者の指名があれば「世界に挑戦する機会はなかなか回ってこない。もし、やれるとなったら自分は行きます」と、迷わす受ける考えを示した。