「水産資源を次世代に」天皇陛下の思いと42回目の“海づくり大会”【皇室 a Moment】
日テレNEWS NNN
ひとつの瞬間から知られざる皇室の実像に迫る「皇室 a Moment」。天皇皇后両陛下は、9月、北海道で行われた「第42回全国豊かな海づくり大会」に出席されました。日本テレビ客員解説員の井上茂男さんと、大会の目的や歴史、水産資源保護への思いにスポットを当てます。
■42回目を迎えた“全国豊かな海づくり大会”とは
――井上さん、天皇皇后両陛下が魚を放流されている場面でしょうか。 はい。先月17日に北海道の厚岸町で行われた「全国豊かな海づくり大会」の一場面です。 この日は、天皇皇后両陛下が、カレイのマツカワの稚魚と、ホッカイエビを海に放されました。大会は今年で42回目、北海道では2度目の開催でした。上皇さまが皇太子時代の第1回からご夫妻で出席し、天皇皇后となってからも出席を続けて、今の両陛下に引き継がれた大会です。 ――きょうは、その「全国豊かな海づくり大会」にスポットを当てます。 井上さん、「全国豊かな海づくり大会」はどのような行事なのでしょうか?
海や湖、川などの環境を守り、水産資源を大切にして漁業の振興を図ろう、という大会で、1981(昭和56)年の大分県から始まりました。映像は第4回の1984年、三重県での様子です。漁船パレードが行われる「歓迎行事」では、船に伊勢エビや真珠を取るアコヤガイのオブジェが取り付けられ、大会の盛り上がりがうかがえます。
皇太子夫妻だった上皇ご夫妻は白い網に入った魚の稚魚を海に落としていますが、稚魚へのダメージに配慮し、今ではその県の特産の木などを使って滑り台のようなスロープが作られ、バケツに入った稚魚をそこに流す形に“進化”しています。 上皇さまはハゼの分類学者ですから大会への思いは深く、天皇に即位してもそのまま出席され、「国民体育大会」、「全国植樹祭」と共に“三大行幸啓”と呼ばれてきました。
■上皇さまから受け継がれた大会
令和になり、今の陛下が即位されると、この行事を引き継がれ、そこに「国民文化祭」が加わって、“四大行幸啓”と呼ばれるようになりました。こちらは陛下がお言葉を述べられる「式典行事」です。陛下は「水問題」をライフワークにされていますから、ご関心の分野でもあります。