静岡県知事選は野党系の鈴木康友氏が自民党推薦候補ら破り当選
川勝平太氏の突然の辞職に伴い5月26日に投開票された静岡県知事選挙は、前浜松市長の鈴木康友氏(66歳)=立憲民主党、国民民主党推薦=が72万8500票を獲得。65万1013票の元副知事・大村慎一氏(60歳)=自民党推薦=ら5候補を破って初当選した。投票率は52・47%と、前回の52・93%を0・46ポイント下回った。
「与野党対決」「地域対決」が注目された今回の知事選。リニア中央新幹線のトンネル掘削により大井川の水が減ったり南アルプスの自然環境が壊されたりすることを危惧した川勝前知事が認めてこなかった県内着工の行方にも焦点が当たったが、両氏とも「リニア推進」。リニア建設中止を訴えた森大介氏(55歳)=共産党公認=は10万7979票を集めた。 リニアをめぐる候補者の主張に変化が表れたのは5月15日、岐阜県瑞浪市大湫町でリニアのトンネル掘削工事により共同水源などの水枯れや水位低下が発生していることが大きく報道されてからだ。 最も「ブレ」たのが大村氏。5月9日の告示日、静岡市役所前で開かれた第一声では、応援演説した髙橋明彦・静岡商工会議所副会頭が「失われた県政15年」と川勝県政を酷評したのに呼応し、大村氏は「県民不在の県政から県民の手に県政を取り戻したい」とキッパリ。「リニア推進 早期解決5つの約束」と記したフリップを示し「スピード感をもって1年以内に結果を出す」と主張。集まった支持者を沸かせていた。 ところが『中日新聞』などの報道によると、掛川市で18日に開かれた演説会では「1年以内に結果を出す」と記したフリップの上に「大井川の水と環境は絶対守ります」と書いたステッカーを貼り、「『1年以内』はいったんストップする」と宣言したのだという。 裏金問題で自民党に逆風が吹く中、応援に駆け付けた〝次期首相候補〟上川陽子外務大臣(衆議院静岡1区)の失言にも足を引っ張られた。静岡市内で18日、自身の女性支援者らが集まる集会で行なった大村氏の応援演説で「一歩を踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と発言、翌19日に撤回した。