“大抜てき”の連続でスターへ「海街チャチャチャ」でブレイクのキム・ソンホとは?新作「暴君」ではミステリアスな役で新たな姿
映画「新しき世界」「THE WITCH/魔女」のパク・フンジョン監督が手掛けたことでも話題の壮絶サスペンス「暴君」。迫力のアクション、強烈なスリラー描写、そしてクライマックスに向かって急激に一つにまとまっていく息つく間もないストーリー展開にハマるファンが続出している同作で、謎めいた“チェ局長”を演じているのがドラマ「海街チャチャチャ」(2021年)で知られるキム・ソンホ(ソノ)だ。2017年に突如ドラマ界に現れ、瞬く間にスターに上り詰めたソンホのキャリア、そしてその魅力とは。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】「海街チャチャチャ」とは印象がらり!ミステリアスな雰囲気のキム・ソンホ演じる“チェ局長” ■「暴君」では極秘プロジェクトのリーダー役 「暴君」は、韓国で秘密裏に進められた極秘プロジェクトを巡り、壮絶なバトルが繰り広げられるノンストップ・サスペンス。韓国政府の不正な科学者グループがウイルス“暴君プログラム”を開発しているとの情報がアメリカ側にわたってしまう。研究成果を渡したくない科学者グループのリーダーはアメリカ側の動きを封じようと秘密工作部隊を雇うが、その過程で“暴君プログラム”の最後のサンプルが行方知れずに。これにより、ウイルスを巡って両政府による激しい戦いが幕を開ける。 そんな「暴君」で、ソンホは“暴君プログラム”を管理する極秘プロジェクトのリーダー“チェ局長”を演じている。決して本心を見せず、命の危機にさらされても一切表情を崩さずクールで強気な態度を貫くチェ局長に、ドラマを見たファンからは「見たことのないキムソノがいた!」「ダークなキムソノに震えた」といった興奮気味の声が上がっている。 ■大抜てきの連続で駆け上ったスターダム フンジョン監督ならではの強烈ノワール・スリラーで冷徹キャラを怪演しているソンホは、1986年生まれの現在満38歳だが、ドラマデビューはまだ最近で31歳のとき。2009年に演劇俳優としてキャリアをスタートさせ、2017年まで演劇界で活躍し、その都会的なルックスから“演劇界のアイドル”と呼ばれ人気を集めていた。 オーディションを経て初めて出演したドラマが、2017年の「キム課長とソ理事 ~Bravo! Your Life~」。この作品で経理部の末っ子社員ソン・サンテを演じて早速注目を集めたが、ソンホ自身は「キム課長―」後、すぐ舞台中心の活動に戻ろうとしたのだとか。 だが、ドラマ界がソンホを離さなかった。同年のドラマ「最強配達人~夢みるカップル~」(2017年)では、脇役の配達人オーディションを受けに行ったはずが、よほど印象が強烈だったのかメインキャストの一人に抜てきされ、放蕩息子オ・ジンギュを好演。 さらに「トゥー・カップス~ただいま恋が憑依中!?~」(2017年)でも、脇役で受けたオーディションで見初められ、チョ・ジョンソク演じる主人公チャ・ドンタクの“宿命のバディ”、笑顔がチャーミングな魔性の詐欺師コン・スチャン役を勝ち取った。もとより俳優としての素地は十分なソンホだけに、この「トゥー・カップス―」でドラマデビュー3作目にして「MBC演技大賞」新人賞&優秀演技賞をW受賞した。 ■「海街チャチャチャ」で一躍ブレイク ドラマ出演経験がほぼない状態からオーディションでの抜てきが続き、その期待に応える好演で瞬く間にキャリアアップしていったソンホ。舞台でしっかりと演技の基礎を身に付けていたのはもちろんのこと、大勢の中でも人々の視線を引きつけずにいられない彼の魅力の一つが、えくぼと笑顔が作る明るく爽やかなキャラクターだろう。 初めての時代劇「100日の郎君様」(2018年)で演じたのは、頭脳明晰(めいせき)なエリート役人チョン・ジェユン。ヒロイン・ホンシム(ナム・ジヒョン)に思いを寄せながらも彼女と世子イ・ユル(ド・ギョンス)の恋を応援するけなげな役回りをしっかりと務め、笑顔も破壊力抜群。メインカップルに劣らぬ人気を獲得した。 ドラマ「スタートアップ:夢の扉」(2020年)でも、ヒロインを陰から見守る愛すべきキャラクターを好演。2019年からは韓国の人気バラエティー「1泊2日」にレギュラー出演するなど、わずか2年ほどの間に知名度を加速度的に上げていったソンホが2021年に出会ったのが、ドラマ「海街チャチャチャ」だ。 現実主義の歯科医ユン・ヘジン(シン・ミナ)と“万能ニート”こと無職のホン班長(ソンホ)の軽快なロマンスを描いた同作で、ソンホは困っている人を見ると助けずにいられないホン班長を好演。不愛想だが優しく、図々しくもありスマート、というつかみどころのないキャラクターも人気を呼び、この「海街チャチャチャ」でソンホは一躍ブレイクを果たした。 ■強烈な闇を見せつけた「暴君」 「暴君」は、そんなソンホの代表作「海街チャチャチャ」以来3年ぶりのドラマ出演作となる。これまで、えくぼと笑顔を生かした軽快なキャラクターやお人よしキャラクターを好演してきたソンホだが、「暴君」で演じているのは正反対の、ミステリアスで大いなる闇を抱えた人物。 頭に拳銃を突きつけられた絶体絶命の状況でも、表情を変えることなく指でゆっくりと銃口を払いのけ「どけろ。撃てないくせに」と落ち着いた表情で相手を威圧する。これまでの愛嬌あふれるチャーミングなイメージを即座に打ち消し、視聴者を納得させてしまう強烈な説得力が、淡々としたまなざしと端正な顔立ちから立ち上ってくる。 最終話ラストでチェ局長は、衝撃のエンディングを迎える。そのルックスから感じられる朗らかで健全なイメージを完全に消し去った、“まだ見たことのないキム・ソンホ”をじっくり堪能したい。 韓国ドラマ「暴君」(全4話)は、ディズニープラスのスターにて全話独占配信中。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部