なぜ“飲むアイス”を開発? ロッテ「クーリッシュ」、ヒットの裏側に二度の売上激減の過去…
売上が激減… 見事V字回復を果たした理由とは?
2003年の発売以降、驚異的なペースで売上を伸ばしていたクーリッシュだが、その勢いは徐々に失速し、2008年には2004年※の売上の約4分の1にまで減少してしまう。 その主な要因は、パッケージを手に取った際の過剰な冷たさや、吸い込んでもすぐにアイスが出てこないといったユーザーからの明確な不満だった。※2004年に全国発売したため同年を売上の基準とする 「この状況を打破するべく、2007年には冷たさを軽減するためにパッケージの内側を断熱性フィルムに変え、翌2008年には吸い口のストローを短くし、直径を大きくして改良しました。さらに2009年は、内容量はそのままに容器をスリムにして持ちやすさと揉みやすさを追求。この取り組みもあり、売上は徐々に回復していきました」 また、2016年にはキャップを大きくして子どもでも開けやすい工夫を施した。 加えて、中身についても「2021年6月に新配合の特許を取得したことにより、アイスがほぐれやすくなりました」とのことだ。 「子どものころ以来、ひさしぶりに飲んでくださった方からは『容器が冷たすぎず持ちやすい』『こんなにキャップ開けやすかったっけ?』『揉んだらアイスがすぐにほぐれる!』など、昔の不満が改善されていて感動したという声を多くいただいています」 2016年にはCM効果なども相まって前年比120パーセントを達成し、さらに2017年、2018年と売上は順調に伸び続けた。
コロナ禍でまたピンチになるも、さらなる工夫で売上回復
V字回復を果たしたクーリッシュだったが、コロナ禍での外出規制により、またしても悲劇が。 ほかのアイスクリーム商品と比較してコンビニでの販売量が多かったことから、再び売上も苦戦。 その打開策として、このフローズン×チアパックの形態を活かした新たな取り組みに挑戦。アソートタイプやアルコールが入った「クーリッシュ フローズンサワー」や乳製品ではない「植物性ミルクのクーリッシュGreen」など、これまでにない切り口の商品を増やしていった。 「コロナ禍では、とにかくチャレンジすることを目標にしていました。そんななか、お客様から『夏は暑いから買うけど、冬は寒いから買わない』と言われることが多く、気温の影響をよくも悪くも受け過ぎてしまうという問題に直面しました。 そこで、季節ごとに氷のサイズや味わいを変えて発売。春と秋はこれまでどおりの氷で、夏は大きい氷を使用してよりシャリシャリとした食感に、冬は氷を細かくして濃厚な味わいを楽しめるようにしています」 現在では夏バージョンが6月から8月中旬ごろまで、冬バージョンが10月下旬から12月ごろまでの販売となっている。こうした取り組みもあって、2023年時点の夏と冬の売上はいまだに夏の需要が高いものの、ブランド全体の売上は底上げされている。