バス停革命? ベルギーの地域密着「臨時バス停」が、超高齢社会の日本にも応用できそうな予感
バス停の存在感と事故リスク
近くの駅がどこにあるかは知っていても、「バス停留所」についてはよくわからない人が意外と多いかもしれない。 【画像】えっ…! これがベルギーの「臨時バス停」です(計5枚) ひとつひとつのバス停は小さく、ポール(標識柱)が1本立っているだけの場合もある。乗り降りする人の数も電車に比べると少なく目立ちにくい。バスは車両の特徴として、1回の運行で運べる乗客の人数にも限りがある。道路は変化に富んでおり、運転手の目が届く範囲も限界があり、10両編成といった運行はそもそも不可能だ。 バス停は立地によって、大きな車体が死角となり交通事故が発生する危険もある。死亡事故をきっかけに国土交通省が全国の約40万か所のバス停を調査し、危険度A~Cの3ランクで分類すると、Aだけで約2000か所もあったという。 全国の駅の総数が約9909(全国駅名事典)とされる。バス停は、あまりに小さくあまりに多いため、注意が分散しリスクが見落とされてしまっている可能性があるのだ。 電車の駅は利用者が多いぶん、資金を集約させて入念に計画を練って作るのに対して、バス停は、いささか場当たり的な設置をしている可能性がある。道路工事などで場所が変わっていることもしばしば。ひとつひとつに費用をかけづらいバス停だが、それをライフラインにしている人々がいる。
高齢者とバス利用のニーズ
さて、バスの乗客というと、皆さんはどのような人を思い浮かべるだろうか。「超高齢都市におけるスローモビリティ」などを研究する大阪大学の土井健司教授は 「人間は加齢とともに運動能力低下、心理・意識の変化などによって移動能力の減退を経験する」 と前置きし、 「加齢に伴い移動に要する時間や費用の重みは低下する一方で、安全・安心および健康・環境の重みは増加する」 と国際交通安全学会の研究で述べている。つまり 「高齢者は近隣をゆっくり安全に移動したい」 と考えている。まるでバスのことを説明しているかのようである。このニーズは、障がいを持った人にも当てはまるだろう。 事業を計画するのは現役世代だから高速で効率的な交通が頭に浮かぶかもしれないが、「安全・安心」という社会弱者のニーズを見落としてはならない。 では、バス交通をより良いものにするために、私たちにはどのようなことができるだろうか。