投資のために買っていた「金」が高騰してかなりもうかりました。夫の扶養から外れることになりますか?
近年、「金」の価格が高騰しているようです。「金」に投資をして利益を上げたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。投資をしてもうかるというのはうれしいことですが、中には「夫の扶養から外れるのではないか」と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。 そこで本記事では、「金」に投資をしてもうかった場合、夫の扶養から外れることになるのかについて、解説します。
扶養には社会保険上の扶養と税金上の扶養がある
今回の例でいう「扶養」には、「社会保険上の扶養」と「税金上の扶養」という2種類の意味があります。配偶者の立場でいえば、社会保険上の扶養とは、健康保険や国民年金における「被扶養者」に該当することをいい、税金上の扶養とは、所得税の計算における「控除対象配偶者」に該当することをいいます。「扶養から外れる」という場合は、これらに該当しなくなることを意味します。 ■健康保険・国民年金における被扶養者の要件 健康保険や国民年金における被扶養者となるためには、「被扶養者の範囲」と「収入の基準」の要件をそれぞれ満たす必要があります。今回の例で問題となるのは、「収入の基準」の要件です(「被扶養者の範囲」の要件は満たしているものとします)。 収入の基準は、原則として、以下のとおりです。 ・年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満) 上記の基準を満たしたうえで、被保険者と同居しているか別居しているかにより、以下の要件が加わります。 ●同居の場合:扶養者(被保険者)の収入の半分未満 ●別居の場合:扶養者(被保険者)からの仕送り額未満 ただし、同居の場合、収入が扶養者の収入の半分以上であっても、扶養者の年間収入を上回らず、日本年金機構がその世帯の生計の状況を総合的に勘案して、扶養者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認めるときは、「被扶養者」となることがあります。 ■所得税の計算における控除対象配偶者の要件 控除対象配偶者の要件は、以下のとおりです。 (1)民法の規定による配偶者である (2)納税者と生計を一にしている (3)年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)である (4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていない(または白色申告者の事業専従者でない) このうち、今回の例で問題となるのは、(3)の要件です(他の要件は満たしているものとします)。