何を変えようとしている?自民憲法草案(1)前文 過去の反省からの脱却
第24回参院選が22日公示され、7月10日の投開票日に向けて、各地で選挙戦が始まりました。今回の選挙では、改憲派が占める議席数が注目され、憲法改正も争点の一つとみられています。しかし、肝心の検討されている改正案の中身は、あまり知られていません。 そこで、2012年に自民党がまとめた「日本国憲法改正草案」を基に、現憲法の何をどのように変えようとしているのか、取り上げていきます。第1回は憲法の顔とも言われる「前文」です。
前文はすべて書き換え
改正草案は、現憲法の前文をすべて書き換えています。「日本国民は」で始まる書き出しは、「日本国は」に変わり、歴史や文化、「国民統合の象徴である天皇を戴く国家」と「三権分立」を盛り込んで、まずは国の姿を明らかにしています。 また、いまの前文は、戦争の惨禍を繰り返さない決意として、主権在民や平和主義について、言葉そのものではなく、「概念」を文章中で表しています。一方、草案は「国民主権」「平和主義」、現憲法では11条にある「基本的人権の尊重」といった、私たちが学校で学んだいわゆる憲法3原則の考え方を言葉として明記しています。 第二次世界大戦からの月日経過を大きく意識したことも草案の特徴です。国際社会において、「名誉ある地位を占めたい」(現憲法)は、「今や重要な地位」(草案)に変えようとしています。「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守る」、「自由と規律を重んじ、経済活動を通じた国の成長」といった考えを描いています。 戦争の反省から、平和国家・国民への変貌を目指した現前文から脱却し、草案は、まったく異なる“顔”になっています。