意外と知られていない移植作、ソードm5版『ディグダグ』
当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、この時期にさまざまな機種に移植されていた『ディグダグ』の、ソードm5版です。 【画像】横長画面で地中は3層と、アーケード版よりもPC-6001mkII版やPC-8001版に近い感じかもしれません。BGMは思った以上に良く出来ていて、これを聞いているだけでも盛り上がります。どのキャラクターもスムーズに動くので、ストレスが溜まりません。 1980年前後に、ナムコ(当時)からアーケードゲームとしてデビューした『パックマン』『ディグダグ』『ラリーX』などの作品は、その後に数々のマイコンやパソコンへと移植されます。当時の雑誌『マイコンBASICマガジン』の広告を見たことがある人ならば、非常に数多くの機種で発売されていたことを覚えているのではないでしょうか。しかし、そこに掲載されていない機種にも“ナムコゲー”はリリースされていて、そのうちの1機種がソード電算機システムから販売されていたパソコン・m5(ゲームパソコンM5含む)です。同機種には『パックマン』や『タンクバタリアン』『ボスコニアン』などのほか、『パワーパック』『ギャラックス』と名前を変えて発売されたタイトルもありました。今回取り上げたのは、そのうちの1本となる『ディグダグ』です。 ゲーム内容はアーケード版や他機種と同じく、画面中央のディグダグを操作して、画面内に出現しているプーカァとファイガーをすべて倒すのが目的でした。ディグダグはモリを持っていて、これを敵に突き刺して空気を送り込んで3段階膨らませ、パンクさせて破裂させれば倒すことができます。 画面内にいくつか配置されている岩石は、すぐ下で支えている土を掘ると重力に逆らうことなく落下するのですが、その際に下にディグダグや敵がいると潰されてしまいました。これを利用して、画面下から岩石に向かって縦長の穴を掘り進めていき、敵が集まってきたところで岩石を落として潰してしまうという技を使えば、一気に高得点が得られます。ハイスコアを狙うのであれば、岩石落としは必須のテクニックとなるでしょう。 敵は土を掘ることはできず、地中を通るときは目だけの姿、いわゆる目変化して通過してきます。このときは移動速度が大幅に落ちるので、このスキを利用して逃げたり岩石落としの準備をするのも技の一つでした。 地中は3層に分かれていて、敵を深い地層(画面下)で倒すほど、またファイガーは上下ではなく横から倒すことで、それぞれ高得点をゲット出来ます。しかし、敵に触れたり岩石に潰されるなどしてディグダグの残りがなくなってしまうと、その時点でゲームオーバーとなりました。 アーケード版『ディグダグ』は縦画面のため、移植されたほとんどのパソコン版では画面右側を点数などの表示領域として、残った左側をメイン画面として使うことで縦長っぽさを演出しています。しかし本作は、PC-8001版やPC-6001mkII版などと同じような感じで、横画面をそのまま目一杯使用した形を採用していました。こうするとアーケード版っぽさはなくなりますが、画面いっぱいにフィールドを描けるためインパクトは大きかったものと思われます。 『ディグダグ』ではプレイ中に使えるテクニックとして、敵をモリで刺すとその場で動きを止めることができるだけでなく、1度または2度膨らませた状態にしておけば通り抜けることもできました。このような技は本作でも使うことが可能で、岩石下の地中を垂直に掘りつつ迫ってくる複数の敵を1匹ずつモリで刺して1度だけ膨らませて足止めし、その状態で岩石落としを決めたり、ファイガーを上または下から刺して膨らませておき、そこを素通りして横位置へと移動後に改めてモリを打ち込んで破裂させ高得点を獲得する、などが主な活用方法です。 アーケード版では、モリは立ち止まってボタンを叩くよりも、ディグダグを移動させながら打ち込むことで敵を素早く破裂させることができましたが、本作では立ち止まってモリボタンを連打するだけで簡単に敵を破裂させることができるようになっていました。また、岩石を2つ落とさなくても一定時間が経過すれば画面中央部にベジタブルターゲットが現れたり、岩石を落とすと画面内の敵がどこにいても必ず一度は反転するなど、アーケード版とはアルゴリズムが少々違う部分も見受けられます。しかし、ディグダグや敵の動きは非常に滑らかで、アーケード版ライクな感覚でプレイ出来るため問題はないでしょう。 m5で発売された作品ということもあるため、実際に動いているところを見たことないという人もいると思いますので、最後に動画でプレイしているところを撮影してみました。もし、周りでソフトを持っているという人を見かけたら、ぜひ遊んでみてください。
AKIBA PC Hotline!,佐々木 潤