厚生年金と国民年金「繰下げ受給なんてしなきゃよかった」夫婦の後悔とは。繰下げ受給4つのデメリット
繰下げ受給の落とし穴②加給年金が支給停止になる
年金の繰下げ受給をすると、加給年金も支給停止されます。 加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が65歳に達したときに生計を共にしている配偶者や子どもがいる場合、加算して支給される年金です。 配偶者が65歳になるまで、または子どもが18歳になるまで受給できます。 加給年金で加算される金額は、以下のとおりです。 ・配偶者:23万4800円+特別加算額 ・第1子・第2子:23万4800円 ・第3子以降:7万8300円 振替加算と同様、年間での加算額が大きくなっています。繰下げ受給して受け取れる分で加給年金額をカバーできるかどうか、よく確かめておきましょう。 加給年金が対象とならない場合は、次章以降のデメリットをおさえておきましょう。
繰下げ受給の落とし穴③非課税優遇制度が受けられない
繰下げ受給を選択した場合、年間の年金額が増加して課税対象になり、非課税世帯への優遇措置を受けられません。 各自治体では、所得が少ない人や住民税が非課税の人に対して減免や免除などの措置を用意しています。主な措置は、以下のとおりです。 ・国民健康保険料の減免措置 ・後期高齢者医療保険料の減免措置 ・介護保険料の減免措置 ・給付型奨学金の利用 このほか、2024年度の経済対策として行われている「住民税非課税世帯への給付金」のような給付も、繰下げ受給で年間の年金収入が増えてしまうと受け取れません。 上記のような措置は、低所得者や住民税非課税世帯などに適用されるものです。 年金を繰下げて受給額が増えると、非課税の要件を超える収入を得ることになり、課税対象となります。課税対象となった際は、優遇措置は受けられません。 収入が年金のみの場合、65歳以降では収入額158万円を超えると税金が発生します。 繰下げの期間によっては、年金額増加により非課税世帯から課税世帯へと切り替わる場合があることをおさえておきましょう。 次の章からは、ある自治体において年収80万円の非課税世帯の場合と年金収入が180万円ある課税世帯とで、医療費や保険料の負担額の違いなどを詳しくみていきましょう。