「間違えても許してニャン」 神奈川県横須賀市が〝不正確な〟ネコ型チャットボット公開
神奈川県横須賀市が開発途中で未完成のネコ型チャットボット「ニャンぺい」を公開した。市民にさまざまな質問をしてもらい、不正確な返答などの不具合を収集する実験という。不具合の修正を重ね、行政窓口で実用化できる生成人工知能(AI)を育成する狙いがある。 チャットボットは、質問に自動回答するプログラムで、ニャンぺいは米オープンAIの最新の言語モデル「GPT-4o(オー)」を活用。ウェブサイトにアクセスすると、ニャンぺいと会話することができる。 自然なやりとりができるのが特長だが、具体的な行政手続きについては正確に答えることができない。「市のマスコットキャラクターは」と尋ねると、実在しないキャラクターを答えるなど、間違った情報が含まれることもある。 今回の実験は、未完成のものをあえて公開し、利用者に不具合を見つけてもらうというIT業界では一般的な開発手法。専門的な行政手続きなどを学習させる前に、誤った発言をしない生成AIの基盤をつくるのが目的だ。市は、不正確や不適切な返答を報告をしてもらい、ニャンぺいを改善する。 市によると、職員向けに同様の実験を行い、ネコのアイコンや口調が好評だったことから、ニャンぺいの一般公開に踏み切ったという。担当者は「どんな内容でもいいので気軽に話しかけて、ニャンぺいを育ててほしい」と話す。 行政の相談窓口での生成AI活用では、返答の正確性が大きな課題となっている。香川県三豊市は昨年、ごみ出し案内の自動相談で生成AIの実証実験を実施したが、実用化は断念した。正答率は94・1%まで向上したが、目標の99%に届かず、誤った返答で市民や収集業者を混乱させると判断した。