ヤジ排除「社会主義国のような出来事が地元で…」地方のテレビ局が訴えたいこと
「高裁で警察側が大杉さんの排除に関して、新しく証拠を出してきたんです。それが結果的に、裁判所が判断を変える根拠の材料になったのではないかという見方をしている人はいます。 一方、原告弁護団は結論ありきの判決だと言っている。これは想像でしかないですが、警察が全面的に負けると、演説会場でヤジが飛んだ時の警備が困難になる恐れがあると判断したのかもしれません。 今年の10月、岸田文雄総理が徳島市内で参議院徳島高知選挙区補欠選挙の応援演説をしていた時に、『増税メガネ』とヤジを飛ばした男性がいました。 徳島県警の警察官3人がすぐ駆け寄って静かにというジェスチャーをすると、男性はすぐにその場を後にした。徳島県警に取材をしたら、政権に批判的な声を上げたので危険物を隠し持っているかもしれないと判断し声をかけたと言うんですよ。 つまり警察は、ヤジを飛ばすのは危険な人物だという考え方なわけです。札幌高裁の判決によって、桃井さんに関しては表現の自由が認められました。徳島の演説現場では、札幌のように警察が強制的に連れ去ることはありませんでしたが、“ソフトな排除”が行われたという意味では判決は生かされなかったことになります」 全国の警察官にはぜひ、映画を観てもらいたいものだ。 ◆声を上げることの大切さを地方から伝えていきたい 山﨑さんは20代から30代にかけて、テレビ朝日の『ニュースステーション』や『報道ステーション』のディレクターを務め、死刑制度や犯罪被害者、少年事件などを取材してきた。北海道放送に転職したのは30代半ば。なぜ地方の放送局を選んだのだろう。 「テレビ朝日の報道番組は全国放送で確かに華々しいですが、自分が日々伝えていることは社会の役に立っているのだろうかと疑問を感じていました。自分の住む地域が良くなっているという実感を持てなかったんです。 僕は制作会社の契約社員だったので、将来の展望もまったく見えませんでした。もっと地に足のついた報道がしたいと考えていたところ、HBCが人を探していると聞いて採用試験を受けることにしたんです」