ぜんぶ現役バリバリ! JRの「レア特急車両」たち 高性能でも“製造やめた”宝の持ち腐れも!?
宝の持ち腐れ? JR北海道の車体傾斜機能
●JR北海道キハ261系気動車0番台:7編成14両 JR北海道では、高コストな振り子式気動車を止め、1997(平成9)年に通勤形気動車キハ201系で、空気ばね車体傾斜を実用化しました。これを搭載した特急形気動車がキハ261系で、宗谷本線の「スーパー宗谷」としてデビュー。カーブでも、従来のキハ183系気動車より15km/h速く走行できます。 札幌~稚内間の一部で最高速度130km/h運転をし、また曲線区間でも高速を維持したことで、所要時間は従来より1時間以上短い最速4時間58分となりました。当初は2両編成6本の12両(うち3本に半室グリーン室のあるキロハ261形を組み込み)でしたが、2両を増備したので、現在は14両となっています。 グリーン車は1+2列の豪華仕様。座席は青い牛革に、木製ひじ掛けを備えます。普通車は2+2列で回転式リクライニングシートが並びます。どちらもデンマーク国鉄の協力を得たデザインです。 なお、2014年より安全性確保とコスト低減のために、車体傾斜機能の使用を取りやめており、所要時間は7~9分程度遅くなりました。 キハ261系自体は2006(平成18)年から2022年に増備されていますが、1000番台以降は0番台との併結を考慮しておらず、実質的には別形式です。
もうひとつ四国から 量産先行車
●JR四国2600系気動車:2編成4両 2017(平成29)年に登場した系列です。2編成4両は今回除外したリゾート用特急を含めても最も少ない製造数といえます。 超レア形式となったのは、土讃線で使われていた特急気動車の振り子式を、空気ばね車体傾斜に置き換えられるか検討する先行車として製造されたからです。スペック上は振り子式に近い性能を持ちます。 しかしカーブが連続する土讃線では、空気ばね傾斜に用いる空気容量が確保できず、性能上問題があることが判明。このため、走行装置を振り子式とした2700系気動車が製造されたために少数となったわけです。 デザインコンセプトは「Neo japonism」。塗装は四国の自然に映えるディープレッドを基調として、吉兆の伝統配色である金色の縁取りを配しています。グリーン車はなく普通車のみです。 内装は和柄をモチーフとし、伝統と先進性を対比・強調させたデザイン。座席は可動枕付きの回転式リクライニングシートです。なお振り子式の2700系は軽量化のため、可動枕は設置されていません。 2600系はカーブの少ない高徳線で、特急「うずしお」でとして運行されています。
安藤昌季(乗りものライター)