「減反」見直しってどういうこと?/木暮太一のやさしいニュース解説
政府は、減反政策を止めることを視野に入れて、検討を始めました。 もし「廃止」になれば、農家を取り巻く環境が大きく変わることになるでしょう。 ―――「減反政策って、米をつくらないようにする政策だよね?」 その通りです。日本人があまり米を食べなくなり、「供給過剰」になっていました。そのため、国が米の生産量を減らすために減反政策を打ち出したのです。 ―――「でも、なんで生産量減らさなきゃいけないの? ますます食料自給率が下がっちゃうじゃん?」 もともとの理由は、「供給が増えすぎると、政府の負担が増えるから」です。 かつて、米は流通を政府が管理していました。つまり、農家が自分でスーパーに卸すのではなく、一度政府が農家から買い上げ、それを市場に供給していたのです。
政府が高く買い上げ、安く売っていた
―――「そうなんだね。だから生産量が増えると、政府の手間が増えるっていうこと?」 いえ、そうではありません。 政府は補助金を出しているのです。かつて政府は、農家からお米を高く買って、市場に安く売っていました。つまりお米の生産が増えれば増えるほど、政府が損をしていたのです。 また、生産量が多くなり売れ残りが出ると、値段が下がってしまいます。これで値崩れが起きてしまうとさらに大変です。 だからお米の生産量を減らそうとしていたのです。 それが減反政策でした。 ―――「なるほどね。」 今では、各農家ごとに「米をどれくらい生産していいか」という“許容量”が割り当てられ、それを達成した農家に補助金を出す仕組みになっています。 国としては、意図があって減反政策を実施していますが、農家からしたら「それ以上、売り物を作るな!」ということです。売り物が減ってしまったら生きていかれません。そのため、減らしてもらう代わりに、補助金を出しているのですね。 補助金を出すので、中小規模の農家でもお米を作り続けられる(生計を立てられる)という「メリット」がありました。