【注目輸入車リバイバルインプレッション】BMW M3コンペティションM xDrive ツーリング「実用性とハイパフォーマンスの二刀流を実現したMモデル」
1名乗車でのセダンよりよほど快適な乗り心地
もちろんM3ツーリングの場合もM3セダンよりリアは硬めになっているはずだが、そもそもセダンでも硬めなのでその差はあまり感じられない。 ツーリングのラゲッジルームに荷物を積んで走ってみると、道路の段差やうねりでゆっくりしたボディの上下動があるが、十分なサスペンションストロークによってとても快適に走れる。 ランフラットタイヤでないこともあってオウトツとの当たりは丸くなっている感じだ。1名乗車でのセダンよりよほど快適だった。 M3ツーリングの場合にはウルトラハイパフォーマンスタイヤを履いているし、セダンとツーリングで前後のグリップバランスの違いはほとんど感じられない。 さてパワートレーンはS58B30Aと呼ばれるBMW M社のハイパワーエンジンを搭載する。これがコンペティションでなくノーマルのM3ならS58B30Bと呼ばれる480ps/ 550Nmを発生するエンジンになる。ハイパワーの方は510ps/ 650Nmを発生できるからフルパワーで走るとその違いを感じるだろう。 0→100km/ h加速はxドライブの効果もあって3.6秒で駆け抜ける。十分に速いタイムだが、同じエンジンを搭載するセダンは3.5秒なので0.1秒負けてしまう。車重がセダンより70kg 重い1870㎏だ から仕方がない。 通常の最高速は250km/ hでリミッターが作動する。オプションでMドライバーズパッケージを選ぶと280km /hにアップする。日本でこの効果を確かめられるのは富士スピードウェイのストレートエンドの数秒間だけだ。ドイツだと規制がない区間のアウトバーンで十分にこのオプションを堪能できるのが羨ましい。
つい高回転まで回したくなる刺激的フィール
反時計回りで針が上がっていくタコメーターは、細かい目盛りを読み取るのは難しいが、これは大雑把に見ていれば問題ない。6800‐7200rpmがイエローゾーンで、7200rpmからがレッドゾーンだ。ヘッドアップディスプレイでも大体読める。 でもここまで引っ張らないでシフトアップしていった方がターボエンジンでは加速は鋭い。最高出力は6250rpmで、最大トルクは2750-5500で発生するから、6300-6500rpm辺りでシフトアップすると次のギアでトルクゾーンを長く使って加速できる。7200rpmまで引っ張るとトルクも低下し、最高出力のピークを過ぎているから実は効率が悪くなるのだ。 それでも高回転まで回したくなる気持ちはわかる。回転数が上がるにつれ直列6気筒の各気筒の爆発が連続していくかのように聴こえてくる。オクターブが上がるようにエキゾーストノートも盛り上がってくる感じは愉しめる。 運転席の前には大きなカーブドディスプレイがあり、スピードやタコメーターはドライブモードを選ぶことによって変えることができる。スポーツモードやトラック(サーキット)モードではスピードも回転数も単純な表示になって見やすい。インパネでタイヤの温度と空気圧もチェックできるようになったのは朗報だ。 M3ツーリングは普段は3シリーズツーリングとして便利に使い、ときにはサーキットのマシンと化して愉しむというライフスタイルが実現できるクルマだ。(文:こもだきよし/写真:永元秀和) ■BMW M3コンペティションM xDriveツーリング主要諸元 ●全長×全幅×全高:4805×1905×1450mm ●ホイールベース:2855mm ●車両重量:1870kg ●エンジン:直6DOHCツインターボー ●総排気量:2992cc ●最高出力:375kW(510ps)/6250rpm ●最大トルク:650Nm/2750-5500rpm ●トランスミッション:8速AT ●駆動方式:4WD ●燃料・タンク容量:プレミアム・59L ●WLTCモード燃費:9.8km/L ●タイヤサイズ:前275/35R19、後285/30R20 ●車両価格(税込):1398万円
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