血生臭い展開に…松下洸平”周明”の死が"まひろ"にもたらすものとは? NHK大河ドラマ『光る君へ』第46話考察レビュー
吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。都を離れて大宰府を訪れたまひろは、周明と約20年ぶりに再会するも、2人は「刀伊の入寇」に巻き込まれる。今回は、第46話の物語を振り返るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】松下洸平”周明”の最期に泣いた…貴重な未公開カットはこちら。 NHK大河ドラマ『光る君へ』劇中カット一覧
華やかな貴族社会から一転、血生臭い展開に
今回を含め、残すところあと3回となった大河ドラマ『光る君へ』。第46回では、都を離れて太宰府を訪れたまひろ(吉高由里子)が刀伊の入寇に巻き込まれる。これまで描かれてきた華やかな貴族社会から一転、男たちが槍や弓を手に戦う血生臭い展開となった。 刀伊の入寇とは、1019年におよそ3000人の外国の海賊(刀伊)が50隻余りの船団で対馬・壱岐・北九州に押し寄せた事件のこと。 わずか半月で364人が殺害され、1300人近くが拉致されるなどの甚大な被害をもたらした刀伊は、当時朝鮮半島で略奪を繰り返していた中国大陸北東部を拠点とする女真族の一派とされている。そんな彼らと武者たちを率いて戦い、撃退したのが隆家(竜星涼)だ。 隆家といえば、かつて花山法皇(本郷奏多)の牛車に向けて矢を射り、中関白家の凋落を決定づけた問題児。出雲権守に左遷され、心を入れ替えたのか、都に戻ってきてからは兄の伊周(三浦翔平)とは対照的に道長の下で懸命な働きぶりを見せていた。だが、大人になった代わりに、以前のような飄々として自由な感じは失われたように思う。 そんな中、狩に出た際に木の枝が刺さって、目を患った隆家は目の病を治す腕利きの薬師がいると聞いて太宰府権帥に任命してもらった隆家。まひろが太宰府で見た隆家は勇ましいひげを生やし、貴族にもかかわらず武者たちに混ざって国を守る頼もしい男になっていた。 隆家は「内裏のような狭い世界で位を争っていた日々を実にくだらぬことであったと思うようになった」とまひろに語る。たしかに側から見ても、たしかに隆家には思慮を巡らせて公卿たちと渡り合うより、武者たちと一緒に体を動かす中で信頼関係を築いていく方が向いているかもしれない。