「自分のことで精一杯で、気を遣えないんです」――誰かと一緒にいるよりは一人がいい、天海祐希の境地
50代に入って身軽になったという天海だが、「今、一番大切にしているものは?」という質問に、しばし考え込んだ。 「……なんだろう。物質的なものでは、ないですね。やっぱり精神的なものかな。強いていえば、自分の良心。それが、すべてのジャッジの中心にあると思います。『これくらいでいいか』っていう自分と、『いや、それじゃだめだ』っていう自分がいるとしたら、後者を取る。楽な方に流れて行きそうだったり、正しくない自分を止める、その良心が、一番大切なものかもしれないですね。それが引いては、こうして仕事をしていく中で、関わって下さった皆さんに迷惑をかけないことにもなるから、そこがブレちゃいけないと思っています」
天海にとって、一番大切なものは“良心”。それは、自分のためだけではない。 「真ん中に置いてもらっている者」としての自覚が、作品ごとに一座の結束力を高め、作品そのもののクオリティを上げる。だからこそ、天海には主演オファーが続くのだろう。 ___ 天海祐希(あまみ・ゆうき) 1967年8月8日生まれ、東京都出身。映画では『クリスマス黙示録』で初めて単独主演を務める。ドラマは「離婚弁護士」シリーズ、「女王の教室」、「BOSS」シリーズ、「トップナイフ-天才脳外科医の条件」、「緊急取調室」シリーズなど。『アマルフィ 女神の報酬』、『カイジ 人生逆転ゲーム』、『最高の人生の見つけ方』など多数のヒット映画に出演。『崖の上のポニョ』、『メアリと魔女の花』などでは声優としても活躍。コロナ禍で公開が1年延期となった最新主演作品『老後の資金がありません!』が10月30日から公開予定。また、ナレーション出演したドキュメンタリー映画『私は白鳥』は11月27日より全国公開予定。