「自分のことで精一杯で、気を遣えないんです」――誰かと一緒にいるよりは一人がいい、天海祐希の境地
「孤独」を感じることは、ある。 「私は、皆さんのお力によって、真ん中に置いてもらっている人間です。だからある側面、孤独でいなければならない。共演者やスタッフの皆さんが安心して楽しく現場が回るように、そういう視点をちゃんと持ってそこにいなければならないと思っている。そういう役割を担うポジションですから、現場では気を付ける、気を回すという部分が、人より多くなります。でもね、今回、草笛光子さんと共演して思ったんです。草笛さんは、現場でもまるで大輪のバラが咲いたような存在でした。いつも明るくスマートで、とにかく何でも楽しそうに取り組んでいらっしゃるんです。自分もいつか、こんな人になりたい。そのために、今できることを積み重ねようと思いました」
とにかくグズグズし続けるのが嫌
サバサバしていて、ストレート。男女どちらから見ても格好よく、上司にしたいタイプ。多くの人が天海祐希に抱くそんなイメージと、実際の性格とは、あまりギャップがない。 「家の中ではダラダラしてますし、そこまできっちりしている方じゃないんですけどね。でも割と演じる役柄の人が言っていることは、理解できることが多いので、すごくかけ離れたところにはいないと思います。若い頃から、不安やモヤモヤを抱えるのが嫌いなんですよ。だって悩んでたって、誰も解決してくれないでしょう。せっかくいいお天気なのに、モヤモヤした気持ちでその一日を台無しにしたら損。自分で動いて解決するなら、すぐに動けばいいじゃない。とにかくグズグズし続けるのが嫌なんですよね。もったいない、一日が。こんな感じです」
SNSを個人的にはしない
年齢を問わず、共演者からの信頼も厚い。 近年活躍めざましい伊藤沙莉は、16年前にドラマ『女王の教室』に出演した。その時、天海からかけられた言葉を金言として、ずっと大切にしてきたという。 「共演したり、何か作品を観た時に、ああ、このシーンのこの人の演技はすごく素敵だな、と思う。それは、私にしかわからない気持ちじゃないですか。ご本人に伝えなければ、せっかく生まれた思いがなかったことになってしまう気がして。だから、メールや電話をしたりすることはありますね。だって伝えられるって、幸せなことですよ。あっ、でもね。私はLINEとかSNSはやってません。メールだけ。どちらかというと電話の方が好き。もちろん、ドラマの公式SNSとか事務所に届くメッセージは、拝見してますよ。でもね、個人的にはしない、これは一生貫こうと思ってる」 トップスターの日常生活。それこそ覗いてみたいと思うのが人の性だが、天海は「いやいや」と首を振る。 「だって、自分から発信したいことってないんですよ。私の日常なんて、人さまにお見せするような面白いことは、何もないですよ。家では完全にリラックスモード」